本研究では、配偶子形成過程や初期胚で発生する染色体異常の種類、染色体異常が受精卵の分割にどのような影響を及ぼすか明らかにすることを目的として、分割停止を起こした受精卵や廃棄予定の受精卵のICMやTE部位を、NGSを用いて染色体解析を行った。 実験1. 胚盤胞期にICMとTEの染色体比較解析 胚盤胞期において、胎児を形成するICMと胎盤を形成するTEの染色体比較解析を行い、核型一致、不一致の割合や、不一致の場合において、染色体異常や染色体の傾向を調べた。染色体異常はTEに蓄積する傾向にあり、また大きな染色体ほど不一致になる傾向であることが分かった。以前より論文作成が滞っていたが、現在論文作成している。 実験2. 受精卵染色体解析の比較 受精卵のような少数細胞を鋳型にして染色体解析を行うのに最適な手法を探索することを目的として、3社より販売されているツールを比較解析した。染色体異常を持つリンパ球細胞5細胞をテンプレートとして、微細な構造異常を検出するための解像度、モザイク異常を検出するためのモザイク感度、操作性を指標として評価した。その結果、20%モザイク異常からの検出が可能となり、またデータ量に依存するが5Mb以下の微細な欠失や重複などの構造異常を検出可能であることが分かった。これらのデータを論文に作成している。
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