研究課題
子宮内膜は、プロゲスチン作用により適切に分化(脱落膜化)して胚受容能を獲得している。脱落膜化の意義を明確するには、プロゲスチンに制御される標的遺伝子の同定とその機能解析が重要となる。転写因子HAND2(heart and neural crest derivatives expressed 2)が、ヒト子宮内膜局所において細胞レベルでどのように機能しているのかを解析した。患者の同意のもとに採取したヒト子宮内膜組織を、機械的および酵素的に融解して、ヒト子宮内膜間質細胞を分離培養した。HAND2を発現抑制した培養子宮内膜間質細胞にて分子生物学的機能解析を行うために、siRNAによりノックダウン(発現抑制)した細胞を作成した。子宮内膜機能調節に関わる血管新生因子としてVascular Endothelial Growth Factor (VEGF)、Angiopoietin(ANGPT)、Stromal cell-derived factor 1 (SDF-1/CXCL12)が、性ステロイドホルモンにより特異的に制御されていることを明らかにしてきた。HAND2発現抑制細胞でANGPT-2発現が抑制されており、HAND2が血管新生に関与している知見が得られた。さらに、血管新生因子として、Fibroblast growth factors(FGFs)ファミリーについて検討を進めた。ヒト子宮内膜に発現していることが報告されているFGFsの中でFGF9のmRNAと蛋白質の発現量がプロゲスチン添加により有意に低下していた。HAND2遺伝子ノックダウンを行った間質細胞で、プロゲスチン添加によりFGF9のmRNA、蛋白質いずれの発現量も有意に増加した。これらの結果から、プロゲスチンが誘導するHAND2がFGF9発現を抑制している分子機構が明らかとなった。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
J Clin Med.
巻: 18 ページ: 351
10.3390/jcm10020351.
J Clin Biochem Nutr.
巻: 67 ページ: 105-111
10.3164/jcbn.20-53. Epub 2020 Jun 5.
Heliyon.
巻: 8 ページ: e03985
10.1016/j.heliyon.2020.e03985. eCollection 2020 Jun.
J Biol Chem.
巻: 295 ページ: 9596-9605
10.1074/jbc.RA120.012753. Epub 2020 May 22.
Endocrinology.
巻: 161 ページ: bqaa049
10.1210/endocr/bqaa049.