研究課題/領域番号 |
17K11261
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
野田 義博 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 技術員 (40728078)
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研究分担者 |
大澤 郁朗 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30343586)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水素 / マウス / 精子 / 酸化ストレス / 精子運動性 / ミトコンドリア / 生殖医療 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年報告された分子状水素(H2)の医療への応用(水素分子医学)という革新的な研究の一端である。生殖医療におけるH2の応用研究は、本申請時点で申請者の研究グループ以外からの報告はまだない。このため、精子への酸化ストレス障害と、それにより引き起こされる受精能の低下をH2が改善できるか確かめる本研究の独創性は極めて高い。現在までの研究成果より、マウス精子に過酸化水素を添加することで精子の運動機能低下を誘導する酸化ストレス障害モデル精子の実験系を確立した。そして、これにより生じる精子運動機能、体外受精による受精率および胚移植による個体発生率の低下に対するH2の抑制効果を検証した。その結果、H2は酸化ストレス障害を受けたマウス精子の運動機能改善効果を呈した。 さらに今年度の研究では、精子の機能低下とミトコンドリア活性に着目し、形態学的な観察と蛍光プローブを用いたミトコンドリアの構造解析について検討した。 本研究は臨床の観点からも極めて高い意義を持つ。不妊治療では可能な限りIVFが選択される。H2による精子運動性の活性化がIVFによる受精率向上につながれば、安全で効果的な新しい男性不妊治療法となりうる。また、凍結保存精子の出生率改善も期待できる。このように、本研究が遂行されれば、薬剤治療の困難な「生殖医療」に安全性の高いH2を応用することで、社会的問題となっている高齢出産における不妊を始めとした諸問題の解決への基盤となる知見を得ることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた精子ミトコンドリアに着目し、STED超解像顕微鏡、走査型電子顕微鏡を用いて形態学的な観察と、蛍光プローブを用いたミトコンドリアの構造解析を行い、適正条件の検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
マウス精子においてH2が酸化ストレス防御機構を誘導するメカニズムについての研究 これまで検討してた、H2 飽和培養液の添加による運動性低下の抑制効果ならびに、過酸化水素で上昇、H2添加によって抑制されるROSと過酸化脂質は定量的に測定する。さらに精子ミトコンドリア機能については膜電位とATPの変動について解析する。これらを STED超解像顕微鏡、電子顕微鏡などより時空間的に解析することで、H2の酸化ストレス防御機構を分子レベルで解明する。これらのデータを論文にまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も研究はおおむね順調に進んでいるが、共同研究者より試薬、消耗品等の援助があったこと、人件費への支出がなかったため、次年度に繰り越すこととなった。繰り越した経費は論文発表のための準備に充てるとして、その他は引き続き物品日、旅費、人件費等に、計画的に使用する。
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