研究課題/領域番号 |
17K11262
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
柿崎 育子 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80302024)
|
研究分担者 |
田中 幹二 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (20311540)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 細胞外マトリックス / 月経前症候群 / 関節痛 / 性ホルモン |
研究実績の概要 |
性ホルモンの分泌量に依存した細胞外マトリックスの変化に着目し、月経前症候群のひとつである関節痛のメカニズムの解明を目指す。性ホルモンで刺激した培養滑膜線維芽細胞を月経周期の細胞モデルとして用いる。ヒアルロン酸を中心とした細胞外マトリックス分子の量的、質的変化の解析を行うために、平成29年度はまず、それら分子の分析系の検討を行った。これまでに長年使用してきたヒアルロン酸定量キットが現在では入手できないことから、これと同等の検出能をもつキットを見つけるために、糖鎖長と濃度が知られたヒアルロン酸オリゴ糖を調製し、それらと培養試料を検体として数社のキットで試した。その結果、感度および検出できるヒアルロン酸の糖鎖長に関して、計画の実施に使用可能なキットを見つけることができた。また、ヒアルロン酸の量やサイズに影響を与えるヒアルロン酸分解酵素の活性検出法の検討を行った。ヒアルロン酸以外の分析対象として、コラーゲンとプロテオグリカンを候補としているが、これらの細胞外マトリックス分子の量的変化をもたらすタンパク分解酵素の活性検出系の検討を行い、今回用いる細胞モデルから調製した試料の分析に使用できる系を見出した。また、プロテオグリカンの構造に特徴的な糖鎖分析に必要な培養試料の量も決定した。一方で、それらのタンパク分解酵素およびヒアルロン酸分解酵素の活性を阻害する可能性のある分子をデザイン、調製し、阻害効果を確認した。このうちの一部については、国内学会および国際学会で成果を報告した。平成30年度以降、同モデルを用いた細胞外マトリックスの変化とそれをもたらす酵素の挙動について性ホルモンを作用させる条件を変えて分析する際に、これら阻害剤のいずれかの添加の有無も計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度から研究期間を通して行う計画として、性ホルモンによる細胞外マトリックスの量的・質的変化の解析と細胞外マトリックスの代謝に関わる分子の解析を挙げている。今年度は、月経周期の細胞モデルの培養系を動かす一方で、目的の分子や活性の分析系の検討をまず行い、分析条件に関して一定の成果が出ていると思われるため、次年度以降の計画実施にこの分析系を使用できることが示された。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、今年度に条件検討を行った分析系やツールを用いて、月経周期の細胞モデルにおける細胞外マトリックスの量的・質的変化の解析とその変化をもたらす細胞外マトリックスの代謝に関わる分子の解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
おおむね当初の計画通りに実施したが、物品費と旅費を中心とした支出で節減できたため、次年度使用額が生じた。次年度の培養細胞系を用いた実験計画に係る物品費に使用する予定である。
|