人工ヒト腹膜組織(AHPT)を用いて卵巣癌腹膜播種モデルを作製し、Carbonyl reductase 1 (CR1) DNA-デンドリマー複合体導入による腹膜播種初期動態の変化から、CR1による遺伝子治療効果の機序を明らかにした。癌細胞は穿孔を形成しながら中皮層に侵入し、中皮間・中皮下で増殖し集塊を形成した。24時間後にはリンパ管侵襲がみられ、48時間後には癌細胞が集塊を形成しながら組織深部に浸潤していた。CR1DNA導入により、AHPT上の癌細胞増殖が有意に抑制され、ネクローシスの誘導を示す結果を得た。CR1導入による増殖抑制とネクローシス誘導を通した卵巣癌腹膜播種抑制効果が実証された。
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