研究実績の概要 |
広汎子宮全摘出術を施行した子宮頸癌IB- IIB期6,192例のReal world dataを用いて、組織亜型を含む病理学的再発リスク因子に基づき、再発中リスクを有する1,688例と再発低リスク因子を有する1,143例を対象として臨床病理学的検討を行った。 再発中リスク症例では、再発中リスク因子をすべて有する患者は、1つまたは2つの危険因子を有する患者よりも全生存率が悪く、多変量解析では、脈管侵襲、非扁平上皮癌の組織亜型、腟への浸潤が、再発と死亡の独立リスク因子であった。再発低リスク症例の5年全生存率および無病生存率は各々98.4%および93.7%であった。組織分類は生存率に影響を与えなかったが、IB期症例に比して、IIA期症例の全生存率および無病生存率が有意に低かった。無病生存率の独立した予後因子として、高齢(≧50)、組織亜型、臨床病期、全生存率の独立した予後因子として臨床病期が同定された。 2018年から2021年の間に東北大学病院で治療した子宮頸癌49例の患者と東北メディカル・メガバンクで保管している健常人52名を対象とし、Biocrates MxP(R) Quant 500 kit (Biocrates Life Science AG, Innsbruck, Austria)を用いて血漿メタボローム解析を行い、628代謝物の突合解析を行った。健常人に比して、子宮頸癌症例では49の代謝物が有意に上昇、75の代謝物が有意に低下していた。特に、代謝物A、代謝物Bの増加、代謝物C、代謝物D、代謝物E、代謝物F、代謝物Gの減少は、子宮頸癌症例に特徴的でした。また、子宮頸癌に対する主軸治療法の一つである放射線治療の感受性群と非感受性群で代謝物プロファイルを比較した結果、治療抵抗性群では必須脂肪酸A、核酸、代謝物Hの代謝に著しい変動がみられた。
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