研究課題/領域番号 |
17K11271
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小原 久典 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (30598818)
|
研究分担者 |
塩沢 丹里 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
宮本 強 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (70418721)
鹿島 大靖 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (70464089) [辞退]
小野 元紀 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (10816432)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | Lipocalin2 / 卵巣子宮内膜症性嚢胞 / 卵巣明細胞癌 / 酸化ストレス / CD44 / 抗酸化物質 |
研究実績の概要 |
子宮内膜症性嚢胞(OEM)から発生する卵巣明細胞癌(CCC)は、本邦では卵巣癌(OC)の約20~25%を占めるうえに抗癌剤耐性を示すため、治療上重要な疾患である。OEMでは慢性炎症に加え、内部に豊富に存在する鉄イオンがフェントン反応から活性酸素種(ROS)を産生し、それによる過剰な酸化ストレスが癌化・進展を促進すると考えられている。一方、過剰な酸化ストレスは細胞死を誘導するため、OEM関連OCでは酸化ストレスを軽減する機構が重要と考えられる。我々はこれまでに鉄輸送蛋白であるlipocalin2(LCN2)がCCCに高発現し、培養CCC細胞においてはLCN2により細胞内鉄イオンが増加するにもかかわらず、ROS産生が減少することを見出した。LCN2高発現では、xCTおよびCD44v8-10タンパク発現が増強し、ROSの中和に作用する細胞内グルタチオン(GSH)濃度の上昇が観察された。がん幹細胞マーカーCD133発現もLCN2高発現で増強していた。卵巣明細胞癌細胞株、子宮内膜癌細胞株のLCN2発現増強およびknock-down (KD)による遺伝子発現変化を、microarray解析で検討したところ、LCN2発現増強により発現増強し、KDにより発現が減弱する遺伝子として、遊走や浸潤、細胞の生存に関わる複数の遺伝子が見出され、これらがLCN2による細胞機能変化に寄与している可能性が考えられた。また、再構成型無細胞タンパク質合成キットを用いてLCN2蛋白を合成したが、この合成LCN2添加により、複数の細胞株で細胞内の抗酸化物質グルタチオン(GSH)増加が観察された。また細胞培養液へのシスプラチン(CDDP)添加は酸化ストレスを誘導するが、シスプラチン添加のみに比較し、合成LCN2添加を添加した場合には、CD44発現の上昇が観察された。
|