研究課題/領域番号 |
17K11277
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小玉 美智子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70791391)
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研究分担者 |
澤田 健二郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00452392)
馬淵 誠士 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00452441)
橋本 香映 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90612078)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | トランスポゾン / スクリーニング / 子宮平滑筋肉腫 |
研究実績の概要 |
子宮平滑筋肉腫は非常に悪性度の高い腫瘍であり、外科的手術可能な早期の症例を除いて確立された治療法が存在せず、また、希少悪性腫瘍である為に、その発症や転移の機序は不明な点が多い。我々は、今回、トランスポゾン挿入変異により子宮平滑筋肉腫を発生する新たなマウスモデルの作製に成功し、その発癌並びに血行性転移のドライバー遺伝子候補を多数同定した。本研究は、子宮平滑筋肉腫発症や転移の機序解明の為、これら遺伝子群の検証を行い、その臨床的意義を明らかにすることを目的としている。 子宮平滑筋肉腫発症、肺転移に関するドライバー候補遺伝子について、再度gCIS解析を行い、トランスポゾン挿入部が有意に高頻度に生じている遺伝子、CIS遺伝子を同定した。平滑筋肉腫が発生した個体に置ける正常子宮ではCIS遺伝子は同定できなかったが、平滑筋肉腫発生に関する19CIS遺伝子、平滑筋肉腫の肺転移に関与する3CIS遺伝子を同定した。平滑筋肉腫のCIS遺伝子には有意に既知のガン遺伝子が含まれており(p=3.08E-17)、今回同定されたCIS遺伝子にこれまでに明らかとされていないガン遺伝子が含まれていることが期待される。これら19CIS遺伝子のうち、多くの腫瘍で認められた遺伝子についてトランスポゾン挿入パターンを検討したところ、センス鎖に殆どの挿入部位が集中する癌遺伝子パターンを示しており、これらの遺伝子についてvalidationを進めている。ヒト子宮平滑筋肉腫細胞株SK-UT1, SK-LMS1, SKNを使用し、siRNAを用いたノックダウンによって細胞増殖の抑制効果を確認した。また、細胞遊走能の低下、stemnessの抑制が起こることも確認した。また、当院での子宮平滑筋肉腫症例のパラフィンブロックを用いて原発腫瘍・転移巣組織の免疫染色を行い、同定された遺伝子とヒト腫瘍組織との関連性を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子宮平滑筋肉腫発症に関与すると考えられる候補遺伝子の強制発現系については進行が遅れている。平滑筋肉腫肺転移に関与する遺伝子候補については、in vivo実験系による検証を開始し、in vitroにおいてそのメカニズムを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、これまでの結果を検証、解析し、論文化を目指す。
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