研究課題/領域番号 |
17K11279
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
濱田 雄行 東邦大学, 医学部, 客員教授 (90172973)
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研究分担者 |
打出 毅 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任教授 (20327456)
古谷 哲也 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60647676)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オンコリティックアデノウイルス / キャリアー細胞 / 前臨床有効性試験 / 伴侶動物 / 固形癌 / midkineプロモーター |
研究実績の概要 |
平成29年度において、前臨床有効試験に使用するEHMK-51-35キャリアー細胞の改良の研究を行った。EHMK-51-35細胞は、肺癌由来細胞のキャリアー細胞であり、イヌ、ネコに投与した際には異種であるため生着する可能性は極めて低いが、生着する可能性が全くないとはいえない。このため、放射線照射によるヌードマウスへの腫瘍形成能を検討したところ、200Gy以上の照射で腫瘍形成能が消失した。オンコリティックアデノウイルス感染後EHMK-51-35キャリアー細胞回収後の照射、オンコリティックアデノウイルス観戦前のEHMK-51-35細胞へ照射とオンコリティックアデノウイルス産生能を検討したが差は認められなかった。このため、操作が簡便である放射線照射後にオンコリティックアデノウイルスを感染することとした。in vitroにおいてオンコリティックアデノウイルス感染EHMK-51-35細胞、放射線照射EHMK-51-35細胞、放射線照射後オンコリティックアデノウイルス感染EHMK-51-35キャリアー細胞を培養したところ、全ての細胞が2週間後に死滅し、安全性が確認された。オンコリティックアデノウイルスの感染条件と検討すると、200MOI、33時間感染が最も強力な抗腫瘍効果を示したが、ビーグル犬投与によりキャリアー細胞の急速な死滅によるDIC症状が強く出た。電子顕微鏡的検討を行ったところ、大量のオンコリティックアデノウイルス産生により核膜破壊が起こることによるものと思われた。このため、20MOI、24時間感染としたところ、ビーグル犬によるDIC症状は軽減したため、この条件でキャリアー細胞は作成し、凍結保存液は5%アルブミンを95%とグリセリン5%として凍結融解後直接投与可能な剤型とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東京農工大学のIRBにプロトコールを提出し、現在、審査中であり、近く認可が下りる予定である。農林水産省へは数年前より事前審査してもらっており、東京農工大学の認可が得られ次第、審査確認が行われる予定であり、認可が得られ次第、前臨床試験を開始する予定である。以上の如く、東京農工大学での審査が遅れているため、研究遂行が開始できない状況であるため、進捗状況に遅れが出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
1,マスターバンク(EHMK-51-35細胞、293細胞、AdE3-midkine、Ad-cGM-CSF、Ad-fGM-CSF)およびワーキングバンクの作成を行う。 2,EHMK-51-35キャリアー細胞に、イヌ用のAdE3-midkineとAd-cGM-CSF 、ネコ用のAdE3-midkineとAd-cGM-CSFをそれぞれ20MOI 24時間感染し凍結保存し(愛媛大学)、各P2A実験施設に専用容器で移送する。 3,東京農工大学のIRBさらに農林水産省への一種確認申請が終了した後に、前臨床有効性試験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
東京農工大の審査の遅れにより実施できなかった前臨床有効性試験のための検査費・試薬購入費が次年度使用となった。加えて次年度は消耗品費、成果発表のための学会参加や旅費などに使用する予定である。
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