研究課題
昨年度までの研究でMIR301BとMIR130Bは約250bpを隔ててタンデムに並んでおり、共通の転写発現機構を有すると考えられた。、実際、BHLHE40/BHLHE41(特にBHLHE41)によりMIR301B、MIR130Bの発現が抑制されることを確認し、その抑制機構をレポーター・アッセイ、ゲルシフト・アッセイ、クロマチン免疫沈降アッセイにより明らかとした。すなわち、BHLHE40とBHLHE41の両方がMIR301B/MIR130Bクラスターの転写調節領域のE-boxモチーフに直接作用すること、またこの転写因子複合体にHDAC1が含まれることを証明した。これらの機構による転写抑制が示唆された。一方でMIR301B/MIR130Bクラスターの転写調節領域にユビキタスに発現している転写因子SP1が作用することを見出した。SP1はMIR301B/MIR130Bクラスターの転写調節領域に存在するGC豊富な配列に直接作用し、転写を正に制御することをレポーター・アッセイ、ゲルシフト・アッセイ、クロマチン免疫沈降アッセイにより明らかとした。また、このGC豊富な配列には一塩基多型rs861843が存在することを発見した。rs861843のG/C多型がこの領域に対するSP1の結合に強く影響した。すなわちrs861843がGに比べCの場合、明らかにSP1との親和性が高く、転写活性が高いことを見出した。rs861843の多型頻度はヨーロッパ人、アフリカ人では10~20%と高いのであるが、東アジア人では0.1%にとどまる。実際、我々の解析では300人の子宮体癌患者、150人の健常対照者のすべてがC/Cのアリルを有していた。以上の結果を論文発表した(Asanoma et al., 2019)。
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