研究課題/領域番号 |
17K11285
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
斉藤 豪 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90145566)
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研究分担者 |
鳥越 俊彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20301400)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ペプチドワクチン / 子宮頸がん / CTL / HPV |
研究実績の概要 |
近年、HPV感染を予防するワクチンが認可され、ウイルス中和抗体が産生されることにより90-100%の確率でHPV感染を予防できると報告されている。しかし、このワクチンの作用はviral capsidを抗原とする中和抗体に基づくため、未感染のヒトには予防効果があるが、既にHPVに感染している癌患者または前癌病変を持つ患者には効果がない。これまで我々のグループは、既感染患者の癌予防と治療に有効なHPVワクチンを開発することを目的とした。扁平上皮細胞に感染したHPVは、細胞内で種々のウイルス蛋白を産生し、ウイルスの増殖と細胞の癌化に関与するが、そのうち、E6, E7という2種類のウイルス蛋白が癌化に必須の働きをしている。これらウイルス蛋白は細胞内で分解され、その分解産物の一部はHLA class I分子によって細胞表面へ提示され、細胞傷害性T細胞(CTL)によって認識される。そこで日本人に最も頻度が高いHLA-A24によって提示されるE6, E7蛋白由来の抗原ペプチドを同定し、このペプチドをCTL-based HPVワクチンを作成した。 平成29年度に関しては子宮頸がん細胞株を用いて3次元培養から得られるSphereを利用し細胞分画を得ることが出来た。得られたSphere細胞よりRNAを回収し、SOX2, NANOG, POU5F1, KLF4といった幹細胞関連遺伝子を定量的RT-PCRにて解析し、がん幹細胞の特性を有している事が判明した。Prognostic significance of the co-expression of EGFR and HER2 in adenocarcinoma of the uterine cervix. PLoS One. Phosphorylation of HSF1 at serine 326 residue is related to the maintenance of gynecologic cancer stem cells through expression of HSP27. Oncotarget. 2017 May 9;8(19):31540-31553. doi: 10.18632/oncotarget.16361.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に関しては子宮頸がん細胞株を用いて3次元培養から得られるSphereを利用し細胞分画を得ることが出来た。得られたSphere細胞よりRNAを回収し、SOX2, NANOG, POU5F1, KLF4といった幹細胞関連遺伝子を定量的RT-PCRにて解析し、がん幹細胞の特性を有している事が判明した。 これらの細胞株を用い子宮頸癌幹細胞抗原の検索に取りかかり、いくつかの候補遺伝子をピックアップすることが出来ており、現在までの進捗状況は概ね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られた候補遺伝子を子宮頸がんの組織での発現、ノックダウンの影響を調べ、治療のターゲットとないうるかどうか検討する。また、これらの分子をからCTL誘導するペプチドを決定し、Vitroでの細胞障害効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末までに使い切るように努力しましたが、若干の余剰金が出てしまいました。本年度中に消耗品として使用する予定です。
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