研究課題/領域番号 |
17K11292
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
新納 恵美子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80588533)
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研究分担者 |
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50382289)
重富 洋志 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (20433336)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 卵巣がん / TFPI2 / HE4 |
研究実績の概要 |
明細胞癌の卵巣癌全体に占める割合は、欧米での5%に対して、本邦においては23%を占めていて漿液性に続く2 番目に多い発生頻度である。さらに、明細胞癌は、抗癌剤抵抗性で転移浸潤能が高く、卵巣癌全体の中でも最も予後が悪い。以上のことより、明細胞癌の早期発見のための有用なマーカーの開発が急務である。通常の卵巣癌ではCA125 が上昇するが、明細胞癌ではCA125 の上昇はみられない。我々は組織中のHNF-1β 遺伝子発現とその抗がん剤耐性惹起機序を証明してきたが、最近、セリンプロテアーゼインヒビターの一つであるTissue factor pathway inhibitor 2(TFPI2)が、卵巣癌の中で明細胞癌のみに多く発現していることが報告された。卵巣癌患者血清の血清TFPI2 濃度とHE4を測定することで、明細胞癌に特異的に上昇するかを検証するとともに、早期発見および進行再発との相関について解明を目指している。 本年度は、卵巣癌症例36例、内膜症症例36例を抽出し、液体窒素に保管されている血清サンプルを研究に使用した。これらのサンプルで、TFPI2 はUscn Life Science Inc.のELISA キットを用いて測定し、CA125 はPhoenix Pharmaceuticals 社のELISA キットを用いて測定した。明細胞癌は内膜症性嚢胞からの癌化が疑われている。TFPI2が内膜症性嚢胞では陰性で、明細胞腺癌では陽性であった場合に癌化の早期発見マーカーとして有用であると考えられる。現在、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は県内中核病院として、年間約100 例の婦人科悪性疾患および年間約300 例の婦人科良性疾患を治療しているため、十分な婦人科癌組織や血液サンプルを集積している。その中から卵巣癌症例を36例、内膜症症例を36例抽出し、液体窒素に保管されている血清サンプルを用いて研究を行った。現在、測定した卵巣癌組織別および婦人科良性疾患のTFPI2 値より、卵巣明細胞癌の診断におけるこれらマーカーの血中濃度の感度、特異度などを計算して、カットオフ値の設定を試みている。明細胞癌症例でもTFPI2の値にばらつきがあり、進行度、年齢、閉経など他に因子に影響されていないか解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も症例の蓄積を継続していく。 また本年に測定したTFPI2値を、患者背景や他のリスク因子も含めて解析を進めていく。 本年はHE4の測定を行っていないので、新規症例や保存されている症例を含め、HE4の測定を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
HE4の測定を次年度に行うことにしたため、HE4 ELISAキット購入分を翌年度に繰り越した。
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