研究課題/領域番号 |
17K11297
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
松本 光司 昭和大学, 医学部, 教授 (30302714)
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研究分担者 |
柊元 巌 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 室長 (70291127)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒトパピローマウイルス / HPV / 子宮頸癌 / 子宮頸部上皮内腫瘍 / CIN |
研究実績の概要 |
2017年度は臨床検体を用い、以下の3つのHPVゲノム解析を行った。 (1) HPV52/58の全ゲノム配列解析:日本人女性の子宮頸癌及びCIN病変に検出されるHPV52/58の全ゲノム配列を決定し、その配列多様性を解析した。臨床検体から抽出したDNAからPCRにてHPV52(52検体)とHPV58(48検体)の全ゲノム領域を増幅し、Nextera XT kit(イルミナ)を用いてライブラリー化して、次世代シークエンサーによる配列解読を行った。その結果、HPV52/58のバリアント分布は、HPV52でlineage B (50/52検体)、HPV58でlineage A (47/48検体)に著しく偏っていた。この成果は英文論文として報告した (2) 次世代シークエンサーを用いたHPVゲノムの多様性解析:患者体内でのHPVゲノム配列の多様性を次世代シークエンサーで解析することを目的に、CINおよび子宮頸癌患者から子宮頸部擦過細胞を採取した。筑波大学病院を受診する患者から、これまでに130検体を収集し、DNA抽出、HPVジェノタイピングの後、HPV16/52/58陽性の検体からlong PCRにて全長HPVゲノムを増幅した。得られたPCR産物をNextera XT kitを用いてライブラリー化し、次世代シークエンサーによる配列解析を行った。その結果、0.5%以上の頻度で多様性を示すゲノム配列部位が多数見出された。その大部分がC to TまたはG to A置換変異であったことから、APOBEC3蛋白質の関与が示唆された。この成果は英文論文として報告した (3) 次世代シークエンサーを用いたHPV組込み部位の解析:日本人の子宮頸癌及びCIN病変でのHPV組込み部位を、次世代シークエンサーを用いて網羅的に同定する解析系の確立を試みた。ハイブリダイゼーションにてHPVと細胞DNAの融合DNAをキャプチャーするため、29種類の遺伝子型のHPV配列を含むビオチン化HPV DNAライブラリーのデザイン・合成を行った。さらに培養細胞及び子宮頸癌の臨床検体を用いて、キャプチャーと配列解読の予備検討を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次世代シークエンサーを用いたHPVゲノムの配列解析はすでに確立しており2編の英文論文を報告することができたが、HPVゲノム組込み部位の解析は難航している。子宮頸癌及びCIN病変でのHPV組込み部位を次世代シークエンサーを用いて網羅的に同定する解析は未だ試行錯誤を繰り返しており、その解析系を確立できていない。また、現在、筑波大学・慶應義塾大学からも臨床検体の提供をいただき解析を進めているが、子宮頸部浸潤癌の検体がまだ十分でなく不足している。
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今後の研究の推進方策 |
HPV16型陽性子宮頸癌を中心にゲノム解析を行い、臨床病理学的所見との関連性を調べる。HPV16ゲノム変異と臨床データとの関連性を調べるにはさらに多くの臨床検体を必要とするため、埼玉県立がんセンターやがん研有明病院などのハイボリュームセンターからも臨床検体の提供を受けられるように協力体制を整える。HPVゲノム組込み部位の解析では、引き続きアッセイ系の確立を目指す。HPV16ゲノム変異あるいはゲノム組込み部位と臨床所見との関連が見られた場合には、それを実証するための基礎実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は、本研究の初年度でまだ本格的な研究 (とくにゲノム組込み部位解析) が進んでいないため次年度使用額が生じた。2018年度は、さらに多くの臨床検体のサンプリングや次世代シーケンサーの試薬などで、支出額が大幅に増加することが予想される。
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