研究課題
卵巣明細胞癌約40例について、神経栄養因子受容体TrkBの3つのアイソフォームを識別できるように設計したプライマーを用いてリアルタイムPCRを行なった。その結果、全ての症例がTrkBmRNAの発現を認めた。TrkBは細胞内にチロシンキナーゼを持つ完全長型アイソフォーム(TrkB-TK)、細胞内にチロシンキナーゼ部位を持たずShc結合領域を持つアイソフォーム(TrkB-Shc)、細胞内にいずれも持たないアイソフォーム(TrkB-T1)がある。アイソフォーム別のmRNA発現率については、全ての症例がTrkB-ShcとTrkB-T1を持ち、約50%の症例がTrkB-TKを発現していた。死亡例、Grade3、臨床進行期3/4期の症例では、それぞれ70-80%がTrkB-TKを発現していた。TrkBタンパクの発現については、TrkBの細胞外を認識する抗体と細胞内のチロシンキナーゼを認識する抗体を用いて免疫組織化学を行なった。TrkB陽性細胞症例は全体の約95%であり、細胞内チロシンキナーゼを持つ完全長型TrkB陽性細胞は約70%であった。さらに、12種の卵巣明細胞癌細胞株(KOC7C、OVSAYO、OVISE、ES2、OVTOKO、TOV21G、OVMANA、RMG、SMOV、HUOCAII、KK、HCH)について同様にリアルタイムPCRを行なったところ、全ての細胞株がTrkBmRNAの発現を認めた。また、特にES2、RMGで完全長型TrkB-TKアイソフォームの発現量が多かった。5細胞株(ES2、TOV21G、OVISE、RMG、HCH)を用いて、シスプラチンおよびTrk阻害薬K252aの添加実験を行った。いずれの細胞株もシスプラチン感受性を持つことが観察され、TrkB-TKの発現量が多いES2、RMGにおいてK252aを添加することでシスプラチン感受性が増大した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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