研究課題/領域番号 |
17K11301
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
吉川 和宏 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 特務教授 (60109759)
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研究分担者 |
藪下 廣光 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00140046) [辞退]
鈴木 進 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70518422)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 子宮頸がん / 組換え型抗体 / HPV-E7 / 細胞膜透過性ペプチド |
研究実績の概要 |
本研究では、子宮頸がんの発生原因として考えられているHPVのE7遺伝子産物に対する抗体を作製し、子宮がん治療に応用する事を目的として実施している。ヒトへの投与を予定しての抗体作りであるため、先ずは、ヒト型抗体を得るための手段を考え実施してきている。材料として、ウイルス感染を認める子宮がん患者のリンパ節にウイルス抗原に対する抗体産生細胞の誘導が想像されることから、がん組織とリンパ節組織の提供を受け、ウイルス感染を検査し、感染陽性患者のスクリーニングを行った。5例の子宮頸がん患者の手術時に、がん組織と近接リンパ節の提供を受け、がん組織のRNAを対象にPCRによるウイルス遺伝子の有無を検査し、目的とするウイルスのタイプであるHPV16、18の感染が認められたのはそれぞれ1例であった。これら患者のリンパ節RNAより抗体産生ファージの作成のため、抗体遺伝子の増幅とライブラリー作成のための遺伝子構築を終え、ベクターへのクローニングのステップまで進んでいる。また、抗体のライブラリーとして三重大学で作成されているヒト型抗体ライブラリーの供与を受け、このライブラリーを用いての抗体スクリーニングを行う事とした。抗体スクリーニング用抗原については、大腸菌で作成を終え、この抗原を用いてマウスモノクローナル抗体を作成したが、明らかにウイルス特異的な抗体は得られていなかった。その原因としては、抗原が大腸菌由来であるため立体構造等が本来の構造ではないため得られる抗体も本来の抗原の構造を認識できないことが考えられた。そこで、改めて動物細胞で抗原を作ることとし、細胞外分泌できる発現用ベクターを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ファージディスプレー法によるヒト型抗体を作成する際、パンニング法による抗体産生ファージを選択するが、このとき用いる抗原としてのリコンビナントE7抗原の作成法により抗体の反応性も異なる事が考えられた。そのため、抗原の作成法の変更し、新たに抗原作成のための遺伝子構築等が必要となったため研究の進捗に遅れが生じた。また、今年度においてもウイルス抗原の発現を確認するための市販の抗体で、検出可能な抗体が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
抗原の作成を動物細胞で行いマウスモノクローナル抗体を作成する。また、この抗体の遺伝子の解析を実施し、治療用単鎖抗体の作成と共にがん細胞を用いた治療実験を行う。ヒト型抗体の作成については、ライブラリーの作成と、三重大学で作成されているヒト型抗体ライブラリーの供与を受けてヒト型抗体の作成を急ぎ、抗体の抗腫瘍機能の確認まで進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で用いる予定で作成したリコンビナント抗原に反応性で問題が生じたこと、また、抗体の評価対象となるウイルス感染細胞におけるウイルス抗原の確認ができなかったため、実験を進める事ができず次の実験に進むことが出来なくなったため使用額が生じた。新たな抗体を得て評価システムを確立して研究を実施する予定である。
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