研究課題/領域番号 |
17K11304
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
大道 正英 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10283764)
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研究分担者 |
林 正美 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00551748)
田中 良道 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10625502)
恒遠 啓示 大阪医科大学, 医学部, 助手 (70388255)
田辺 晃子 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70454543)
佐々木 浩 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80432491)
兪 史夏 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80625674)
寺井 義人 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90278531)
田中 智人 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90411363)
藤原 聡枝 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90707960)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高分子ミセル / ドラッグデリバリーシステム / 卵巣癌 / 上皮・間葉形態転換 / ニッチ |
研究実績の概要 |
「EMTとニッチの制御を目指した高分子ミセルを用いた難治性卵巣癌に対する治療の開発」 本研究は卵巣癌の浸潤・転移に重要な上皮・間葉形態転換 (Epithelial-Mesenchymal Transition: EMT) 現象の制御のみならず、癌周囲の微小環境(ニッチ)に関与する免疫細胞の制御を目的としている。そのために、EMT化細胞の表現マーカーに対する抗体を外郭に結合させたシスプラチン(CDDP)内包高分子ミセルを作成し、さらにミセル内にニッチ制御因子も内包させ、癌の浸潤を効率よく抑制させるドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発を考案した。 平成29年度:1) ET-2 siRNAのレンチウイルス発現ベクターの構築を、Endothelin-2 (NM_001956)に対するsiRNA配列をsiDirect softwareで検索し、off-targetを受けにくい配列を3つ選別した。レンチウイルス発現ベクターに選別したsiRNAを挿入後レンチウイルスに形質導入した。同時にscramble RNAを挿入したコントロールベクターを形質導入したレンチウイルスを作成した。次に 卵巣癌細胞株(Caov-3 , A2780, RMG-1 , TOV-112D, OV-90に上記レンチウイルスを感染させ細胞に上記DNAを組み込んだ。2)高分子ミセルを形成する親水性ブロックとしては生体適合性に優れるポリエチレングリコールを、コアを形成する疎水性ブロックとしてはポリアスパラ銀酸を用いたキャリアーポリマーを作成した。疎水性側鎖に-COOH基を残しシスプラチンと錯体形成ののち内包させ、同時にETAR選択的阻害剤Zibotentan、BQ-123、もしくはETBR 選択的阻害剤BQ-788も内包させた。分画分子量1,000の透析膜を用いて精製水に対する透析により数十nm径にそろえ、抗CD24抗体をシェルに共結合させることで、CD24抗体を外郭に結合させた高分子ミセルを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究室および実験器具・機器において研究の進捗に関する問題はない
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はマクロファージを用いたニッチ制御の分子細胞学的メカニズムについての検討を中心に行う予定である。具体的にはヒト単球細胞株THP-1からマクロファージへの分化誘導を行うためにヒト単球細胞株THP-1はATCC社から購入し、M1、M2マクロファージに分極させた後にチャンバーを用いた卵巣がん細胞株との共培養によって卵巣癌から分泌されたET-2によるマクロファージの遊走能促進作用がM1マクロファージおよびM2マクロファージのどちらに優位か、そしてマクロファージのETAR/ETBRどちらを介しているのかを明らかにすることで、ETAR/ ETBR阻害剤による卵巣癌―マクロファージ連携の破綻、つまりニッチ制御の分子細胞学的メカニズムを明らかにする予定である。その実験準備として実験器具および細胞は随時準備しており研究を遂行するにあたって問題がないと考える。
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