頸癌細胞株を用いて、イトラコナゾール投与による抗腫瘍効果を検討した。網羅的遺伝子発現解析、リン酸化蛋白質量分析、脂質メディエーター解析を行った。網羅的遺伝子発現解析及びリン酸化蛋白質量分析により得られた発現変異遺伝子やリン酸化タンパクのパスウェイマッピングを行ったところ、PI3K/AKT/mTORシグナル経路への作用が示唆された。Western blotにより、PI3K/AKT/mTORシグナル経路への作用を検証した。脂質メディエーター解析では、イトラコナゾール投与早期に関わる脂質メディエーター群と後期群とに時系列による変化が示され、window of opportunity trial で実際に投与された患者の早期奏効例の症状改善効果の時系列変化と一致した。次に、Window of opportunity trialで得られた、臨床検体を用いて、イトラコナゾール投与による組織マイクロアレイを行ったところ、がん細胞のPI3K/AKT/mTORシグナル経路への作用と、その周囲間質との転移に関わるEMT関連分子、接着因子へのクロストークに作用し、がん浸潤をイトラコナゾールが抑制することが判明した。
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