研究課題/領域番号 |
17K11308
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
杉山 裕子 公益財団法人がん研究会, 有明病院 細胞診断部, 部長 (80322634)
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研究分担者 |
森 誠一 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター 次世代がん研究シーズ育成プロジェクト, プロジェクトリーダー (10334814)
高澤 豊 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (50313151)
野村 秀高 公益財団法人がん研究会, 有明病院 婦人科, 副医長 (60408549)
加藤 一喜 千葉県がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (80399451)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 婦人科腫瘍学 / 子宮体癌 / 黄体ホルモン療法 / 治療抵抗性 / ゲノム解析 |
研究実績の概要 |
子宮体癌は組織学的にほとんどが類内膜癌である。類内膜癌は前癌病変とされる内膜増殖症から発生し、その発がんにはエストロゲンが関与すると考えられてきた。このため抗エストロゲン作用を示す黄体ホルモンが治療として用いられてきた。しかし、治療感受性を規定する因子が不明であった。 本研究は、子宮体癌の黄体ホルモン療法における治療感受性・抵抗性および再発を規定する因子を同定することを目的とし、黄体ホルモン療法が施行された時系列検体を用いて、臨床病理学的検討とマルチオミックス解析を施行した。結果:1.黄体ホルモン療法施行87例を検討し、初回黄体ホルモン療法の有効例は59例(68%)、無効例は28例(32%)であった。有効59例中再発は36例(61%)、 再発しなかった例は23例(39%)であった。再発36例中、2回目以降のMPA療法の有効例は5例(14%)、 無効例は31例(86%)であった。以上より黄体ホルモン療法は、初回は68%に効果があるが、61%で再発を認め、再発後の効果は14%と極端に低いことがわかった。 2.初回黄体ホルモン療法無効3例と、初回は治療感受性であったが、再発後治療抵抗性となった11例の時系列検体によるマルチオミックス解析(エクソーム/メチローム解析)を施行した。 3.黄体ホルモン療法の対象になる類内膜癌は、その発癌過程で前癌病変とされる内膜増殖症を経てエストロゲンが関与して癌化するものと、 エストロゲンが関与せずde novoに発生する癌の2種類が存在することを報告した(SugiyamaらAJP、 2020)。 4.黄体ホルモン療法を施行した時系列検体を用いた解析では、エストロゲン受容体ESR1の活性化変異(Y537S)の獲得や、PTEN、 CTNNB1、 CHD4、 ARID5Bの変異等が治療抵抗性となった時点で出現した。
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