研究実績の概要 |
昨年度までに、TEAD4プロモーターの転写開始部位上流700~500 bpの領域に、E7に応答する配列があることを見出している。またRbへの結合能を失ったE7変異体(D21G, L22V/C24S/E26D)では、TEAD4の発現を誘導できないことから、Rb/E2F経路の関与が想定された。そこでTEAD4プロモーターの700~500 bp領域内にE2F結合配列を検索したところ、一ヶ所の候補部位(TTTCTCCC)を見出した。そこで本部位にE2Fが結合できない変異(TTTAAACC)を導入し、内在性のE7を発現するHeLa細胞でのリポーターアッセイによりプロモーター活性への影響を検討した。その結果、TEAD4プロモーターには変化が認められず、この部位はE2Fへの応答配列として機能していないことが示された。またTEAD4プロモーター内にはTEAD結合部位が存在することから、TEAD4が自身の発現を誘導する発現増幅機構が考えられる。そこで293細胞でのリポーターアッセイにより、TEAD4発現がTEAD4プロモーター活性に与える影響を検討した。その結果、TEAD4はTEAD4プロモーター(700 bp, 500 bp, 300 bp)のいずれの領域に対しても、著しくプロモーター活性を上昇させた。 また日本人女性の子宮頸部病変から検出されるHPV16全ゲノム配列を多数決定することで、A1, A4, A5の三つのバリアントが広がっていることが分かった。これらのバリアントは子宮頸癌への進展リスクが異なり、それぞれ特徴的なE7をコードしていることから、TEAD4の発現誘導に違いが認められるかを検討している。これまでにA1, A4, A5のE7を発現する組換えレトロウイルスを作成し、ヒト子宮頸部角化細胞株に感染させ、E7を安定に発現する細胞を得た。
|