2013年のANCA関連血管炎性中耳炎に関する全国調査(後ろ向き調査)で登録症例の多い22施設を対象として症例を集積した。エクセル表に臨床情報を入力してもらい各自でDrop Boxに入れる形で集積した。また、これら登録された症例については、前向き調査で定期的にエクセル表に臨床情報を入力し、再燃、経過について登録後の症例をフォローしている。現在130症例が集積されている。この130症例について簡単に検討した。ANCA型では、PR3-ANCA陽性が18例(14%)、MPOANCA陽性が91例(71%)、両ANCA陽性が4例(3%)、両ANCA陰性が15例(12%)であった。これまでの報告通り、MPO-ANCA陽性が最多であった。また、どの臓器から初発したかを検討したところ、中耳初発型が88例(72.7%)と最多であったが、中耳炎を伴わない内耳炎初発型を11例(9%)に認め、他臓器から初発した他臓器初発型も16例13%)に認めた。また、側頭骨以外の上気道から初発した例は6例(5%)であった。よって、中耳炎以外から初発する症例を27%に認めた。また、ANCA関連血管炎性中耳炎に特徴的な肥厚性硬膜炎の合併は17例(13%)に認めた。血清IgG4高値を20%に認めており、IgG4関連疾患も肥厚性硬膜炎をきたす。IgG4関連疾患とANCA関連血管炎は鑑別困難な症例が認められた。現在、その差異について、血清IgG4値や組織へのIgG4浸潤程度の差から鑑別できないか検討中である。
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