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2018 年度 実施状況報告書

自己幹細胞誘導を用いた中耳粘膜再生による中耳真珠腫根治治療へ向けての研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K11313
研究機関山形大学

研究代表者

伊藤 吏  山形大学, 医学部, 准教授 (50344809)

研究分担者 窪田 俊憲  山形大学, 医学部, 助教 (80536954)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード真珠製中耳炎 / 中耳粘膜 / モルモット / 再生医療
研究実績の概要

中耳真珠腫は中耳腔の陰圧化により嚢状に陥凹した重層扁平上皮に角化物が堆積し、感染と骨破壊を起こしながら、難聴やめまい、顔面神経麻痺などをきたす疾患である。中耳真珠腫に対する根治治療は手術による完全摘出であるが、手術による骨削開と中耳粘膜掻爬により、本来の中耳粘膜によるガス交換能・圧調節能が失われれば、再び鼓膜上皮が陥凹して真珠腫の再形成を生じてしまう。真珠腫再形成を防ぐには、効率的かつ実践的な中耳粘膜の再生治療が必要と考えられ、本研究ではhigh-mobility group box 1 (以下HMGB1)を用いて自己間葉系間細胞誘導を誘導し、中耳粘膜再生を促すことによって中耳真珠腫の根本的治療法の開発を目指す。
平成30年度は正常中耳粘膜の組織的評価と障害モデルの確立を目指した。前年度までは、中耳粘膜層が側頭骨から剥がれてしまい組織評価が困難であったが、固定・脱灰方法を改良することでこの問題を解決することが可能となった。また、障害モデルを作製する際には、前年度までは、側頭骨を一部穿破した後に中耳粘膜を掻爬していたが、今年度は、1.9mm耳用内視鏡を用いて経外耳道的に中耳粘膜を掻爬した。これにより、良好な中耳粘膜障害モデルを確立することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成30年度は正常中耳粘膜の組織学的評価と障害モデルの確立を目指した。前年度までは、中耳粘膜層が側頭骨から剥がれてしまい組織学的評価が困難であったが、モルモットから側頭骨を取り出した後、固定時間を3日間と長くし、固定液や脱灰液を直接側頭骨内に注入することで中耳粘膜層が側頭骨から剥がれてしまうのを防ぐことができた。処理した側頭骨で凍結標本を作製し、ヘマトキシリン・エオジン(H-E)染色で評価した。
また、障害モデルを作製する際には、前年度までは、側頭骨を一部穿破した後に中耳粘膜を掻爬していたが、穿破した部位から肉芽組織が増生する問題点があった。このため、今年度は、1.9mm耳用内視鏡を用いて経外耳道的に鼓膜を穿破した後に、中耳粘膜を掻爬した。これにより、中耳粘膜以外の部位からの肉芽組織の増生を予防することができ、障害モデルを確立することができた。

今後の研究の推進方策

今後は、平成30年度に確立した障害モデルに、徐放製剤に含浸したHMGB1を投与し、中耳粘膜の評価を行う予定である。また、比較実験として、生理食塩水、ステロイド、レチノイド、Insulin-like growth factor-1(IGF-1)を投与し、併せて中耳粘膜の評価を行う予定である。組織学的評価の時期としては、術後2週間を予定しており、H-E染色と免疫組織染色を行う。免疫組織染色では、上皮細胞マーカー、非上皮系細胞マーカー、基底膜マーカー、炎症性サイトカインなどの発現を検討し、中耳粘膜再生について評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

これまでは旧式のテレスコープで予備実験を行っており、経外耳道的内視鏡下操作による薬剤投与実験に移行する際には新式のテレスコープを購入し薬剤投与を行う予定であったが、中耳粘膜障害モデル作成の遅れにより、新規テレスコープが未購入であり、使用する薬剤や実験動物も予定より少ない購入であった。今回、中耳粘膜障害動物モデルが確立したため、今年度は経外耳道的内視鏡下操作による薬剤投与実験に移行し、新規にテレスコープを購入した上で、薬剤投与実験のデータを集積することができる。

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公開日: 2019-12-27  

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