研究課題/領域番号 |
17K11321
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高倉 大匡 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (50345576)
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研究分担者 |
將積 日出夫 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60187507)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 感覚混乱 / 大脳皮質活動 / 近赤外線分光法 / 頭頂側頭接合部 / MST野 / 頭頂間溝 / 前庭リハビリテーション / ニューロフィードバック |
研究実績の概要 |
最終年度は、実験データの追加と詳細な解析を行うとともに、導入した近赤外線分光法(NIRS)を用いたニューロフィードバック(NF)装置を検証し、以下の知見を得た。 直立不安定刺激(EquiTestシステムの感覚統合テスト(Sensory Organization Task: SOT))中の大脳皮質活動の計測では、正常被験者においてSOT5,6(視覚と体性感覚の両者が混乱する条件)で認められた補足運動野(随意的運動制御に関与)および後部頭頂皮質(空間知覚に関与)の賦活化が,一側前庭障害患者ではSOT3(視覚のみ混乱)あるいはSOT4(体性感覚のみ混乱)で観察されることを明らかとした。このことから,一側前庭障害患者では,自身の空間知覚と直立維持のために,前庭以外の感覚への依存度が増加(感覚の再重み付け)している可能性が示唆された。また,患者毎に再重み付けした感覚が異なる(視覚依存か体性感覚依存か)可能性が示唆された。水平回転加速度刺激中の視覚・前庭覚間の感覚混乱時の大脳皮質血流応答計測の解析の結果、感覚混乱時の側頭頭頂接合部、MST野の賦活化を明らかとした。さらに、回転刺激時に被験者が感じる主観的めまい感覚の強さと大脳皮質血流応答との関連を検討した結果、頭頂間溝(IPS)付近の縁上回で負の相関が認められた。このことから、同領域がめまい感覚の生成に関与し、NF療法の標的部位となりうる可能性が示唆された。 上記結果を基に導入したNF装置を用いて、IPS付近大脳皮質を標的領域として、検証実験を行った。2名の正常被験者に対して両側IPS付近から計測した脳血流を前方のモニター上に白色バーの高さとして提示し、5秒間バーを高く、その後の10秒間はバーを低くするようにイメージさせる課題を反復させた。この課題を計4回施行させ脳血流を解析すると、計測部位付近の脳血流の増加が確認された。
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