研究課題/領域番号 |
17K11325
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50335270)
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研究分担者 |
喜多 知子 (嶋知子) 京都大学, 医学研究科, 研究員 (20362519)
大西 弘恵 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50397634)
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70378644)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インスリン様細胞増殖因子1 / 蝸牛 / 有毛細胞 / シナプス / 再生 / 保護 |
研究実績の概要 |
本研究では、インスリン様細胞増殖因子1(IGF1)による急性感音難聴治療研究を発展させ、より幅広い感音難聴に対する創薬研究の基盤形成を目的とし、特にIGF1情報伝達系の蝸牛における役割に注目した研究を行った。2019年度は、1)DBA/2Jマウスにおける進行性難聴に対するIGF1局所投与効果の検証、2)蝸牛求心性シナプスの維持におけるIGF1の役割の検討を施行した。DBA2/Jマウスにおける進行性難聴では、IGF局所投与により求心性シナプスの保護効果が認められることを確認したが、聴覚機能保持効果は限定的であることが示唆された。今後さらに解析を進める予定である。2018年度にマウス蝸牛器官培養系を用い、興奮性アミノ酸によるシナプス傷害後にIGF1投与することにより、求心性シナプスが再生することを示し、論文として公表した。2019年度には、マウス蝸牛における求心性シナプス維持におけるIGF1の役割をIGF1受容体拮抗薬を用いて解析し、IGF1シグナルの抑制によりシナプスが減少すること、自発的に再生する能力があることを明らかにし、2020年10月に論文として公表した。本研究成果は、蝸牛における聴覚機能維持にIGF1情報伝達系が重要な役割を果たしていることを示すものであり、今後、加齢性難聴を含めた進行性難聴に対する治療戦略として、IGF1および関連分子が標的となりうることを示すものと考えられる。
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