研究課題
本研究課題ではメニエール病モデルマウスの蝸牛、球形嚢、卵形嚢、三半規管の機能を評価し、内リンパ水腫の存在範囲との相関を検討することにより、これらの機能評価から内リンパ水腫の存在範囲が評価できる検査法を開発し、その検査法にてメニエール病患者の内リンパ水腫の存在部位を推定し、内耳造影MRIの結果との比較によりその妥当性を検討し、新たなメニエール病の病期分類につながる内リンパ水腫の存在範囲の診断法を開発することを目的としている。病期分類は治療決定や予後推測につながる必要がある。メニエール病には内リンパ嚢開放術という手術法が存在し、内リンパ嚢開放術により、メニエール病における内耳内リンパ水腫が改善し、めまいや難聴が改善する。我々は内リンパ嚢開放術を施行し、術後2年経過した症例の術前、術後の内耳造影MRIの結果を検討し、術側の内リンパ水腫は軽減しているが、非術側は不変であることをAuris Nasus Larynx誌に論文として発表した。健康成人にて球形嚢を刺激した時の眼球運動を記録、解析することにより、球形嚢の機能が評価できることを確認し、Neuroscience Research誌に論文として発表した。マウスの半規管機能検査装置をすでに開発しているが、今回、球形嚢、卵形嚢の機能検査装置を完成させ、現在、データを採取している。これらの新しいマウスの平衡機能検査装置の概要を2018年の第77回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会のシンポジウム「基礎研究の将来展望」にて発表した。この内容はEquilibrium Research誌に総説として発表する予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度、30年度でメニエール病患者のデータを取得すると計画していたが、すでに21名のメニエール病患者のデータの取得を終え、Auris Nasus Larynx誌に論文として発表した。この点に関しては当初の計画以上に進展している。しかし、マウスの耳石動眼反射のデータ取得をすでに行っているが、当初、単眼記録でよいと考えていたが、両眼撮影が必要であることが判明したので、両眼での記録、撮影をやり直しており、これに関しては予定通りには進んでいない。平成31年度はメニエール病患者のデータ取得のためのエフォートをマウスの耳石動眼反射のデータ取得に使えると考えている。
マウスの耳石動眼反射のデータ採取を第一優先に進める。耳石動眼反射に関しては、直線加速度刺激だけではなく、向心力や重力加速度に対する反応も調べる予定である。マウスの半規管動眼反射のデータ取得のシステムは、現在、マニュアル操作部分をすでに全自動化できるようにシステムの改良を行ったので、今後はデータ取得の能率が上がると考えられる。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Auris Nasus Larynx
巻: 46 ページ: 335-345
doi: 10.1016/j.anl.2018.10.011.
Neurosci Res
巻: 未定 ページ: 未定
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Eur Arch Otorhinolaryngol
巻: 275(12) ページ: 2967-2973
doi: 10.1007/s00405-018-5165-3.