研究課題
本研究は、新規発症の良性発作性頭位めまい症(BPPV)の患者において、発症1年後までの持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)への進展を予測する因子を前向きコホート研究にて解明すること、発症の頻度を算出することを主な目的とする。PPPDに対する予防的介入が可能となるなど、PPPDの二次予防につながる研究である。本年度は、継続症例の最終データの収集を行い、データの固定、解析を行い、一部公表、一部論文執筆中である。前年度に引き続き、研究主期間にて定期ミーティングで進歩状況の確認を行った。現在までに得られた成果として、ベースラインデータをまとめた結果としては、BPPV発症から1ヶ月経過して二次・三次施設を受診している症例には治癒例・症状残存症例がそれぞれ半数程度あり、症状残存症例の中には眼振のない症例も多く含まれる。そのような症例も眼振のある症状残存症例と同様に、めまいによる生活の支障や抑うつを抱えていることが確認された。2019年に第78回日本めまい平衡医学会学術講演会にて口演の後、Journal of Otology and Rhinologyにて論文として公表した。最終データをまとめた結果としては、解析対象のBPPV116例中97.4%は1年後までに治癒し、2.6%がBPPVが遷延した。また全体の1.7%、エントリー時症状残存症例の3.3%がPPPDを発症した。予測よりPPPD発症症例が少ないため、発症を予測する因子を解析することは困難であったものの、発症1ヶ月後に受診継続しているBPPV症例からのPPPD発症率を算出できた。2020年に第79回日本めまい平衡医学会学術講演会にて口演し、現在論文化をしている。
2: おおむね順調に進展している
症例の収集に当初の予定より時間を要し1年期間を延長したが、その後、2019年3月末日でエントリーを終了し、2020年3月末日で経過観察期間を終了した。その後は順調に進行している。
データ解析を終了しており、公表を進めており、最終結果の論文執筆中である。
論文執筆中であり、論文投稿料、オープンアクセス化に必要な料金に対する予算が残っており、次年度使用予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
Journal of Otology and Rhinology
巻: 9 ページ: -
10.37532/Jor.2020.9(6).400
巻: 10 ページ: -
耳鼻咽喉科臨床
巻: 113 ページ: 13-18