研究課題
小児滲出性中耳炎の難治・遷延例の鑑別診断法を確立し、外科治療の適応基準を明らかにするとともに、難治例に対するより低侵襲で後遺症の少ない治療法を 検証することを目的に症例を蓄積中である。 小児滲出性中耳炎症例について、画像診断(単純レントゲン検査、必要に応じてCTスキャン)、聴覚検査(ワイドバンド・ティンパノメトリー検査:WBT、幼 児聴力検査、その他の他覚的聴覚検査)、さらに鼓膜の光干渉断層撮影(Optical coherence tomography:OCT)等の有用性を検討している。特に、OCTはFDAの認可が下り、輸入可能となったので、これをまずは正常被験者を対象に使用して、実際に臨床応用可能かどうかについての検証を行った。近年諸外国においては、抗菌薬投与が必要となる急性化膿性中耳炎と、慢性化した滲出性中耳炎との鑑別診断法の開発が注目されており、特に鼓膜の光干渉断 層撮影(OCT)では、鼓膜の肥厚の程度や中耳腔裏面のバイ オフィルム形成などについての情報が得られることから、急性中耳炎と慢性滲出性中耳炎の鑑別だけではなく、滲出性中耳炎の難治・遷延例の鑑別診断、さらには先天性真珠腫生中耳炎、コレステリン中耳炎などとの鑑別が可能となる可能性がある。
3: やや遅れている
本年度中に光干渉断層撮影(OCT)装置を購入して、本格的なデータ解析を行う予定であったが、装置のFDA認可に時間がかかり購入が遅れたため。
鼓膜の光干渉断層撮影(OCT)と鼓膜内視鏡画像、画像診断(単純レントゲン検査、必要に応じてCTスキャン)からは、それぞれに有用な情報を得ることができるが、単体では正確な確定診断は難しい場合も多い。今後AI解析技術の導入によって、こ れらの検査所見を融合して、滲出性中耳炎の重症度診断と、滲出性中耳炎と急性中耳炎の鑑別診断が可能かどうか検討を進める予定である。
購入予定していた光干渉断層撮影(OCT)装置装置のFDA認可に時間がかかり購入が遅れたため、次年度使用額が生じた。光干渉断層撮影(OCT)装置の購入のために使用する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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