研究課題/領域番号 |
17K11345
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
乾 崇樹 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60465614)
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研究分担者 |
森 禎章 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70268192)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 加齢性難聴 / 女性ホルモン / 卵巣摘出動物モデル / 蝸牛内直流電位 / 蝸牛血流 |
研究実績の概要 |
聴覚生理における女性ホルモンの影響について、これまで様々な研究報告がなされてきている。具体例として、月経周期に連動する聴力閾値の変動、閉経後女性における聴性脳幹反応(ABR)閾値の上昇、老年性難聴における聴力閾値の男女差、子宮摘出ラットでの聴力閾値の上昇などの報告が挙げられる。高齢化が進む現代社会において、活動的な高齢者の社会参画は非常に重要であり、加齢性難聴はQOLの点からも社会的に潜在的な問題として重要な意味を持つ。 本研究では、閉経によりエストロゲンの分泌が減少することから、女性ホルモンの聴覚生理における役割を明らかにすることを目的としている。特に申請者らがこれまで行ってきた研究を応用し、モルモットの蝸牛血管条機能に対するエストロゲン濃度変化の影響を、蝸牛血流量、ABR、蝸牛内直流電位、組織学的な変化を評価とする。 初年度より研究の遂行において、所属施設内での実験場所の移動を要し、また実験器具の故障やコロナ禍による研究活動の制限もあったため進行が遅れている。コロナ禍の影響を加味しての研究期間延長が認可されたため、令和2年度にも大きな制約はあったとはいえ、令和元年度終了時よりも研究は進行している。当初予定していた卵巣切除モルモットの確立について、成熟雌モルモットに全身麻酔を施して卵巣摘出術を行うが、当初比較を予定していた若年動物で成熟動物の結果に差がなければ、以後若年モルモットを用いることで飼育コストと実験手技のブラッシュアップを行い、実験を遂行することを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成29~31年度での実験完遂を予定し、卵巣切除モルモットを確立した後、生後1年の成熟雌モルモットと、週齢3週の若年雌モルモットに対して卵巣摘出術を行い、対照群との比較も含めて手術によるホルモン量の変化の影響の評価を進め、可能なら以後は若年動物のみを使用し、エストロゲンおよびプロゲステロン投与による影響を評価する予定であった。 申請期間中に所属研究機関内での研究スペースの移動を要し(実験ができない期間もあった)、新たな研究場所での機器セットアップを終え実験を再開していたが、研究の進捗に遅れをきたしていた。これに加え、令和2年度は新型コロナウイルス流行により、所属機関での滞在時間減少による研究活動の制限や、実験動物や資材の納入も制限され、実験が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度が終了した時点では当初の研究計画から約1年分の遅れを生じていた。この1年もコロナ禍により十分に実験ができていないが、1年の研究期間延長申請により、残り期間に対する遅れは幾分軽減されている。 今後、当初の予定期間に出来ていない実験について遂行するが、若年雌モルモットを用いることで準備期間と飼育コストなどの削減をはかる。実験動物モデルの確立を行った後、平成30年度、同31年度の計画を遂行する予定である。具体的には、まず卵巣摘出に加えてエストロゲンおよびプロゲステロン投与の影響を評価し、続いて卵巣摘出後にエストロゲンおよびプロゲステロンの投与を行った後、エストロゲンの投与中止および投与再開の影響を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要にも記した通り、所属研究機関内での調整により、機関内での実験スペースの移動を行う必要が生じた。このほかコロナ禍もあり、実験が一時的に中断し、再開後も当初の予定よりも遅れて研究を進めている状態であるため、期間延長を行い次年度に繰り越して使用することとした。残額については、当初予定していた実験動物や薬剤の購入費用や一部破損した機器の再購入も含めて次年度に使用する。
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