研究課題
基盤研究(C)
国立病院機構東京医療センターと連携し、全国の病院から集まる様々な遺伝性難聴のデータ解析を構造生物学的的観点に基づき行った。対象遺伝子はこれまで行ってきた解析を含めると、TECTA, PDZD7, OTOF, OPA1, NOG, KCNQ4 など多岐にわたった。特に重要なEDNRBとGJB2の変異について、計算化学的な手法に基づく多角的な解析を行い、遺伝性難聴を引き起こす分子発症メカニズムを提案することができた。
計算構造生物学 生体生命情報学
近年、遺伝子疾患について、正常遺伝子の導入やゲノム編集を利用した遺伝子治療法などが開発されつつある。また、患者iPS細胞から作られた内耳細胞に基づく疾患メカニズムの解明と治療薬の開発も行われてきている。しかし、構造生物学的な視点からの病態解析は、遺伝性難聴においてはまだ十分とは言えないという一面もあった。今回、我々が行った立体構造に基づく分子発症機構の解明は、新規な診断法と治療薬の開発、さらに遺伝子治療のための戦略を探るための重要な情報として貢献するものと考える。