研究課題/領域番号 |
17K11352
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
斎藤 慎二 常磐大学, 人間科学部, 教授 (50195989)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 鼻腔上皮細胞 / 鼻腔粘膜上皮モデル / 鼻腔細菌叢 |
研究実績の概要 |
これまでにヒト鼻腔上皮細胞株RPMI2650細胞を用いた単純化した鼻腔粘膜モデルを確立している。RPMI2650細胞は核型やサイトケラチンの発現パターン、細胞表面のムコイド物質産生などいずれもヒト正常鼻腔細胞と酷似しているとされる。しかし、タイトジャンクションの形成や極性の発現などで正常鼻腔上皮細胞に劣っている。今後の研究展開にはより正常組織の構造機能に近いモデルの構築が必要とされることから、ヒト鼻腔上皮初代培養細胞を用いた気相液相界面培養系の構築の条件検討を行った。PromoCells社より鼻腔上皮初代培養細胞を購入し、実験に供した。気相液相界面培養系での単層細胞層の形成には約2週間の継続培養を要するが、多くの初代培養ロットでは継続培養時にスフェロイド状に増殖し、単層のシート形成の確立の割合が低く、条件の再検討を継続している。培養パラメーターの見直し、コラーゲン膜や細胞シート作成担体などの細胞培養担体の検討、同時に複数ロットを導入し気相液相界面培養系の構築を完成を目指している。また、プレリミナリーな調査計画として、ボランティアを募り、広範なにヒト鼻腔正常細菌叢形成菌株を収集する計画を策定している。花粉症などアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息等アレルギー疾患、症状、病態等の情報についても収集し、その相関についても検討する。収集菌株を用いた鼻腔粘膜モデル上での相互応答についても検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度に所属先の異動があり、研究環境の大きな変化が生じてしまった。新たな所属先の実験研究環境が著しく脆弱であり、研究遂行のための研究環境の構築、整備に多くの時間を費やすこととなっている。現在も連携できる研究機関を模索しつつ研究環境整備に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究環境の構築を最優先とし新たな連携機関模索し環境を整備する。引き続き培養パラメーターの見直すと同時に細胞ロット間の適応差も考慮し、複数ロットを比較し気相液相界面培養系の構築を完成させる。ヒト鼻腔細菌叢形成菌株の収集計画の策定し、広範に菌株を収集し、花粉症等アレルギー症状、病態との相関について検討する。収集菌株を用いた鼻腔粘膜モデル上での相互応答についても検証し、アレルギー病態に影響を及ぼす現象をあぶり出していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の4月に所属先が異動となった。新所属機関での研究環境整備・構築がままならず、研究の継続、遂行に大きな遅れが生じ、経費の執行が大幅に遅れている。次年度では、研究遂行のため、研究環境の構築・整備と研究遂行のため次年度の助成金と合わせ執行し、研究を進めていく。
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