研究課題
スギ舌下免疫療法治療前後の血清を液体窒素に保存、磁気ビーズマルチプレックス(血管新生、成長因子、心血管因子、サイトカイン、 ケモカイン、アジポカイン、筋神経変性因子、ニューロペプタイド)、プロテオーム解析、メタボローム解析(生体物質解析センターに委託)で網羅的に観察する。スギ舌下免疫療法でTh2サイトカインに関係する血清中TSLPが1年目と比べて4年目で減少したが、同じdanger signalであるIL-33は不変であった。補体C3a、C5a、網羅的解析で判明したApolipoprotein A Ⅳも減少したが、アディポサイトカインパネルで検討すると、レプチン、線溶系の分子であるplasminogen activator inhibitorが増加した。免疫療法開始1年目の血清TSLPの値と4年目の臨床症状が相関した。免疫療法1年目の血清中TSLP値が4年後の症状を予測できる可能性が示唆された。免疫療法治療前の予測因子を検討すると、治療前血清IL-21が高い群ではと他群と比べ、1年目の花粉飛散期の症状のスコアが低く、1年目で免疫療法が有効であることが判明した。長期舌下免疫療法の臨床のバイオマーカーとしてはIL-17Aが長期免疫療法を行ったときの4年目のスコアと相関しているため、IL-17Aが減少した群と他群に分けて、網羅的な観察を行った。その結果、長期免疫療法が有効な群では46種類、無効な群では115種類の血清化合物が存在した。
2: おおむね順調に進展している
研究所が変更になったこともあり、マウスモデル作成がやや遅れている。
網羅的な観察でスクリーニングした長期免疫療法予後予測分子、有効群の46種類、無効群の115種類の血清化合物を用いて免疫担当細胞への影響を観察する。花粉症ヒト末梢血から抗体ビーズでMACSを用いて、T細胞、B細胞、好酸球を分離、予測分子(リコンビナント,siRNA,中和抗体)で前処理し、スギ抗原で刺激、T細胞ではサイトカイン産生、B細胞ではクラススノイッチ関連AID、germline transcrip、サイトカイン産生、好酸球ではプロスタノイド(LT/PG)、ECP、EDN、Galectin、L-plastin、サイトカイン産生をELISA、磁気ビーズマルチプレックス、real time PCR、PCRアレイを用いて、分子リン酸化アレイで観察する。治療前後の末梢血単核球はスギ抗原で刺激、6時間後の細胞からRNAを抽出、24時間後の培養上清液、細胞を保存する。RNAはRT後にマイクロアレイ、PCRアレイ(Nuerotoxity、Innate adaptive immune response、Growth factor)、培養上清液は、磁気ビーズマルチプレックスにて観察する。
スギ舌下免疫療法治療前血清、末梢血単核球を利用し、網羅的な観察を更に継続・並行して長期効果予測分子とバイオマーカーを検討したが、研究場所が変更となったため、準備に時間を要した。次年度で、高額な実験試料を使用し、予備実験でスクリーニングした3つの分子、1)で検索しえた(新規)長期効果予測分子の各種アレルギー担当細胞への(細胞内シグナルを含む)影響を検討し、効果予測分子リコンビナント、分子標的siRNAと中和抗体による、免疫療法(-)/(+)花粉症モデルマウス、好酸球性鼻粘膜浮腫性病変モデルマウスへの影響を観察する。
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