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2020 年度 実施状況報告書

好酸球性副鼻腔炎の発症因子と増悪因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K11367
研究機関東邦大学

研究代表者

和田 弘太  東邦大学, 医学部, 教授 (20307482)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード好酸球性副鼻腔炎 / TSLP / IL-33 / 喘息 / ウィルス感染
研究実績の概要

東邦大学倫理委員会承認のもと、通常の臨床手術から得られる検体を用いて行っている。副鼻腔炎の診断で内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した症例と、コントロールとして下垂体手術症例、眼窩壁骨折症例を用いて採取した。鈎状突起から副鼻腔由来上皮細胞(気道細胞)を鼻ポリープから線維芽細胞を培養し検討を行った。副鼻腔炎はウィルス感染を契機に増悪し細菌感染を引き起こす。そのため、ウィルス感染の疑似となるTLR3のリガンドであるPoly I;Cを用いて刺激を行っている。また、好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は、免疫・アレルギー疾患のひとつと考えられている。副鼻腔由来上皮細胞においてPoly I;C 刺激を行うと上清中のTSLPの検出が可能であった。Th2サイトカインだけの刺激では検出されなかった。それにも関わらず、Poly I;Cだけ加えるよりも、Th2サイトカインとPoly I;Cを加えるとTSLP産生量が増加し、特にECRS重症例でその傾向が顕著であった。また、局所(鈎状突起粘膜)のリンパ球についても検討した。ポリープを伴う副鼻腔炎の中で、ECRSと非ECRSで比較した結果、ECRSでは優位にCD4+T細胞/B細胞比が高かった。この結果はECRSの病態にTh2型反応が関与する可能性がある。この結果は今年度、International Archives of Otorhinolaryngologyに受理された。今後はILC-2を中心とした自然免疫系の働きにも注目し、研究を行いたいと考えています。共刺激サイトカインはIL-4、IL-13を加えもっともベーシックなTh2サイトカインを用いて行っていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1件の論文が受理された。上記の結果を踏まえ現在、さらに別途、論文を執筆中である。

今後の研究の推進方策

免疫・アレルギー疾患において線維芽細胞から産生されるペリオスチンも重要であることから、前々年度より、線維芽細胞にPoly I;CまたはRSウィルス液で刺激を加えてペリオスチンのmRNA発現の検討を行っている。無刺激に比較し、両者とも多くても2倍量に満たない増減であった。生体内におけるペリオスチン発現は、ウィルス感染に対する免疫応答によるサイトカイン産生によって誘導されることが報告されているため、In vitroにおいてもサイトカイン添加により、発現量に明らかな変動が認められる可能性が考えられる。また、予備実験より、検体により反応性が様々であったことから、この検討には十分な検体数を要する。

次年度使用額が生じた理由

現在、追加実験を行っており次年度以降も実験費用を要することと、現在論文化途中の成果に対して、掲載料や校正費用を要する可能性があるため。また昨年度はCOVID-19の蔓延により研究室の出入りが制限されたこと、手術も3か月間停止したことが次年度使用額が生じた理由としては最も大きい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Anatomical Factors that Can Predict the Structure of Lamina Papyracea for Endoscopic Sinus Surgery2021

    • 著者名/発表者名
      Shinya Ohira, Kentaro Matsuura, Hidehito Matsui, Mitsuto Nakamura, Kazuhisa Kamiyama, Riko Kajiwara, Akiko Inoue, Kota Wada
    • 雑誌名

      The Laryngoscope

      巻: 131 (1) ページ: E19 -E25

    • DOI

      10.1002/lary.28644

  • [雑誌論文] High CD4+ T-Cell/B-Cell Ratio in the Paranasal Sinus Mucosa of Patients with Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis2020

    • 著者名/発表者名
      Akiko Inoue, Yuriko Tanaka, Shinya Ohira, Kentaro Matsuura, Motonari Kondo, Kota Wada
    • 雑誌名

      International Archives of Otorhinolaryngology

      巻: 10 ページ: 1

    • DOI

      10.1055/s-0040-1715587

  • [雑誌論文] Mouthwash-Based Highly Sensitive Pyro-Genotyping for Nine Sexually Transmitted Human Papilloma Virus Genotypes2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Watanabe *, Seto Yukiko, Ritsuko Oikawa, Takara Nakazawa, Hanae Furuya, Hidehito Matsui, Sachiko Hosono, Mika Noike, Akiko Inoue, Hiroyuki Yamamoto, Fumio Itoh, Kota Wada
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 21 (10) ページ: 3697

    • DOI

      10.3390/ijms21103697

  • [学会発表] 酸球性副鼻腔炎における難治化因子の解明により下気道疾患の病因を探る2021

    • 著者名/発表者名
      和田弘太、井上彰子、田中ゆり子
    • 学会等名
      第157回東邦医学会例会
  • [学会発表] More severe ECRS patients produce more TSLP in the paranasal sinus mucosa2020

    • 著者名/発表者名
      Akiko Inoue, Yuriko Tanaka, Motonari Kondo, Hidehito Matsui, Takara Nakazawa, Shinya Ohira, Hiroshi Osafune, Kota Wada
    • 学会等名
      JSA/WAO Joint Congress 2020

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公開日: 2021-12-27  

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