研究課題
基盤研究(C)
副鼻腔由来上皮細胞と鼻ポリープから得られた線維芽細胞を用いて検討を行った。TLR3のリガンドであるPoly I;Cを用いて刺激を行った。上皮細胞をTh2サイトカイン刺激を行うとTSLPは検出されなかった。しかし、上皮細胞においてPoly I;C 刺激を行うとTSLPの検出が可能であった。Poly I;Cだけ加えるよりも、Th2サイトカインとPoly I;Cを加えるとTSLP産生量が増加し、特にECRS重症例でその傾向が顕著であった。また、局所リンパ球についても検討した。ポリープを伴う副鼻腔炎の中で、ECRSと非ECRSで比較した結果、ECRSでは優位にCD4+T細胞/B細胞比が高かった。
耳鼻咽喉科
難治である好酸球性副鼻腔炎は今までは手術とステロイドのみが効果的な治療であった。昨今は分子標的薬(抗IL-4,IL-13背レプター抗体療法)が保険適応となった。今回の治療で、TSLPもターゲットサイトカインとなりうることが示された。しかし、TSLPのみをブロックするのではなく、Th2サイトカインも同時にブロックするカクテル療法のような治療の開発が重要である可能性が示唆された。また、ペリオスチンも同様にターゲットとなりうると予想される。今後、これらの基礎研究が臨床の現場へ貢献できると信じている。