研究実績の概要 |
慢性副鼻腔炎は国内外を問わず有病率の高い疾患であり、その一部には、喘息を合併するもの、難治性の好酸球性副鼻腔炎、NSAID 不耐症など重篤な症状を示し、アレルギーの関与が示唆されるものも含まれ、科学的な病態解明と予防、治療法の確立が待たれる疾患である。研究代表者は、慢性副鼻腔炎の遺伝的要因について、遺伝子多型を用いて検討を行い、関連を示した遺伝子多型と慢性副鼻腔炎の病態への関与について機能解析を試みる。 本年度は、既に収集済みである慢性副鼻腔炎及び対照群のそれぞれ独立の2集団を用いて、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患のGWASで関連の見られたゲノム領域に含まれる52の遺伝子多型について関連解析を行った。第1集団は、慢性副鼻腔炎群が約410 例、対照群が約900 例、第2集団は、慢性副鼻腔炎群が約240 例、対照群が約1000 例となっている。独立な2集団での関連解析の結果をCochran-Mantel-Haenszel testを用いてメタ解析したところ、5q22.1 (KIF3A/IL13), 2q12 (IL1RL1/IL18R1/IL18RAP), MHC領域, 5q35 (LTC4S), 9p24.1 (IL33), 2p25.1 (LINC00299)の6箇所のゲノム領域で有意な関連を示す遺伝子多型が認められた。また、初年度に予定していた臨床情報を用いた層別化解析については、一部の解析に止まっているので次年度以降も引き続き検討したい。
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