研究課題/領域番号 |
17K11371
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
廣田 朝光 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50435674)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性副鼻腔炎 / 遺伝子多型 / GWAS / 関連解析 / メタ解析 |
研究実績の概要 |
慢性副鼻腔炎はその一部の病態からアレルギーの関与が示唆される。研究代表者は、アレルギー疾患のGWASで関連の見られた遺伝子多型について、慢性副鼻腔炎との関連解析を行った。初年度に独立の2集団を用いたメタ解析により同定した慢性副鼻腔炎の病態に関連する6箇所のゲノム領域のうち、IL1RL1、IL18R1、IL18RAPなどの遺伝子を含む2q12のゲノム領域を中心にどのように病態に関与するかについて機能的な解析を進めた。大変興味深いことに、この領域は、欧米を中心としたGWASにおいて、慢性副鼻腔炎と密接に関わりのある鼻ポリープとの関連が新たに認められている(Nat Genet. 2019 51:267-276)。 慢性副鼻腔炎と最も強い関連を示した2q12のゲノム領域のrs1420101は、気管支喘息、鼻ポリープなどのGWASの報告と同じリスクアレルの方向性を示した。また、rs1420101及びこれと強い連鎖不平衡をもつ遺伝子多型は、IL1RL1、IL18R1、IL18RAPの遺伝子発現と相関を持つことが種々の細胞、臓器で報告されている(eQTL: expression quantitative trait loci)。現在、慢性副鼻腔炎の病態ではどの遺伝子の遺伝子発現が重要であるかの検討を行なっている。 また、慢性副鼻腔炎の表現型についての臨床情報が利用可能であるため、層別化解析を2q12のゲノム領域を含め、初年度に解析を行ったその他の遺伝子多型についても検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年度目は、初年度に十分にできなかった臨床情報を用いた層別化解析を着手することができ、関連の認めら遺伝子多型について、慢性副鼻腔炎の病態に関する機能的な解析についても進めることができた。関連解析のための予定していた実験自体は全て終了しているため、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、慢性副鼻腔炎の関連解析の層別化、及び、病態に関する機能解析を終了させ、結果にまとめ、学会または論文での発表を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性副鼻腔炎との関連解析において、予定より少ない数の遺伝子多型で有為な関連を複数箇所で得ることができたため、遺伝子多型の判定(ジェノタイピング)の費用が抑えられた。病態との関連における機能解析に、次年度使用額は、最終年度分と合わせて使用すると共に、学会または論文での発表に使用したい。
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