研究課題
慢性副鼻腔炎は、その一部に、気管支喘息の合併や、難治性の好酸球性副鼻腔炎、NSAID 不耐症などの重篤な症状を呈することから、アレルギーの関与が示唆される。研究代表者は、独立の2集団を用いた関連解析により、慢性副鼻腔炎の病態に関連する6箇所のゲノム領域 (5q22.1, KIF3A/IL13; 2q12, IL1RL1/IL18R1/IL18RAP; MHC領域; 5q35, LTC4S; 9p24.1, IL33; 2p25.1, LINC00299)を同定した。関連を認めた6箇所のゲノム領域のうち、IL1RL1、IL18R1、IL18RAPなどの遺伝子を含む2q12のゲノム領域は、米国を中心としたGWASにおいて、慢性副鼻腔炎と密接に関わりのある鼻ポリープとの関連が報告されている。慢性副鼻腔炎と最も強い関連を示した2q12のゲノム領域のrs1420101は、気管支喘息、鼻ポリープなどのGWASの報告と同じリスクアレルの方向性を示した。in silicoの解析で、rs1420101及び、これと強い連鎖不平衡をもつ複数の遺伝子多型は、DNase I高感受性領域に含まれること、ヒストン修飾の情報からプロモーター、エンハンサーとしての機能が予測されること、IL1RL1、IL18R1の遺伝子発現量と相関を持つこと (eQTL: expression quantitative trait loci)、転写因子などのDNAへの結合能を変化させること、などが種々の細胞、臓器において示された。また、慢性副鼻腔炎患者の血液を約100検体、新たに収集し、このうち、54検体についてゲノムDNAの抽出を行った。新たな候補遺伝子として、近年、欧米で報告された真菌のcolonizationに密接に関与する遺伝子のrare variantについて、日本人の慢性副鼻腔炎患者を用いて探索を行った。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Allergology International
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