(ア)臨床学的検討:掌蹠膿疱症における扁桃摘出後の皮疹改善を主観的評価(n=138)と客観的評価(n=80)にて経時的に観察し、皮疹消失をエンドポイントとしてカプランマイヤー法にて検討した。その結果、自覚的評価では12ヶ月後で38%、他覚的評価では44%の症例に皮疹消失を認めると算出された。また多変量解析において術後の禁煙や掌蹠膿疱症性関節炎の合併が独立した早期の皮疹改善に寄与する因子であった。 (イ)ホーミングレセプターを介した病巣へのT細胞の浸潤 :IgA腎症のCD8+CX3CR1+発現を検討した結果、扁桃単核球、末梢血単核球、腎糸球体の細胞数の割合は有意に増加していた。さらに、末梢血の陽性細胞数は扁桃摘出後有意に減少した。従って、扁桃由来の陽性細胞が腎糸球体に遊走し、その病態に関与している可能性が示唆された。 (ウ)IgA腎症扁桃におけるIgA過剰産生:IgA腎症扁桃リンパ球におけるIgA過剰産生は一部APRIL(a proliferation-inducing ligand)の過剰産生に起因し、またそのB細胞はCPG-ODN刺激にて受容体の発現を亢進することが明らかとなった。このことから、IgA腎症扁桃リンパ球のIgA過剰産生にAPRILが関与している可能性が示唆された。 (エ)IgA腎症における扁桃を中心とした病態解明に関して今までの当科での研究データーを元に総説を執筆した。 (オ)掌蹠膿疱症における扁桃を中心とした病態解明に関して今までの当科での研究データーを元に総説を執筆した。(ア)-(オ)全て英文雑誌に投稿、受理された。
|