研究実績の概要 |
声帯麻痺に対する既存の治療法の限界の一因となっている声帯筋の萎縮に対する治療法の確立のため、bFGFの麻痺声帯よる筋萎縮に対する効果を検討した。 まずは、反回神経切断後の麻痺声帯の程度を確認するために、麻痺後1か月、2か月、3か月において声帯筋の萎縮の程度を検証した。麻痺後1か月で、患側の筋面積が健側の6割程度に萎縮しており、麻痺後1か月で十分に萎縮していることが判明した。 ラットに対し左反回神経を切断し、声帯麻痺モデルを作成した。麻痺後1か月目にbFGFを単回注入し、注入1か月目での声帯筋の萎縮の再生効果を確かめた。bFGFの濃度として20μg/mlおよび200μg/mlを用いた。その結果200μg/mlでは有意な改善がみられたが、20μg/mlでは有意な改善を認めなった。 機序の解明のため、筋衛生細胞のマーカーとしてPAX7、筋芽細胞のマーカーとしてMYODの発現をday1,3,7,14,28において経時的に解析した。day1でPAX7が増大し、day3,7でMYODが増大する様子がみられ、bFGF投与により筋衛生細胞の増殖、分化が生じ、筋萎縮の再生効果がえられたと推定された。
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