研究課題
8-10週齢のオスC57BL/6マウスを用い、過去の報告にならい両側声帯に物理的損傷を加えた。M1-likeマクロファージからM2-likeマクロファージへ分化誘導効果を有すると報告されているPPARγアゴニスト(ピオグリタゾン)の声帯線維化に与える効果を検証した。①増殖期からリモデリング期での効果の検証:ピオグリタゾン投与群および生理食塩水投与群(コントロール群)を設定し、薬剤投与実験を行った。損傷後3日目から14日目まで連日経口投与を行い、損傷後14日目に採取した声帯粘膜から抽出したtotal RNAを用い、線維化マーカー、筋線維芽細胞マーカー、M2マクロファージマーカーの遺伝子発現をqRT-PCRにて評価した。いずれの群でもすべての評価項目で有意な差を認めず、損傷後14日目の声帯においてピオグリタゾン経口投与による線維化軽減効果はないことが示唆された。②炎症期での効果の検証:声帯損傷直前、損傷後1日目から3日目までピオグリタゾンおよび生理食塩水(コントロール群)連日経口投与を行い、損傷後3日目に採取した声帯粘膜から抽出したtotal RNAを用い、線維化マーカー、筋線維芽細胞マーカー、M2マクロファージマーカーの遺伝子発現をqRT-PCRにて評価した。すべての評価項目で2群間の有意な差を認めず、損傷後3日目の声帯においてもピオグリタゾン経口投与による線維化への影響はないことが示唆された。損傷後3日目、14日目のいずれにおいても、ピオグリタゾン経口投与後にPPARγの活性化の指標であるArg 1の変化を認めなかったため、ピオグリタゾンの経口投与では声帯におけるPPARγ活性は期待できないと考えられた。
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Molecular Therapy - Nucleic Acids
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