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2017 年度 実施状況報告書

高速度撮影装置を用いた声帯結節発症に関与する不適切な大声発声の評価法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 17K11382
研究機関大阪大学

研究代表者

小川 真  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80403179)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード大声発声 / 呼気努力 / 声門下圧 / 胸腔内圧 / 腹腔内圧 / 空気力学的検査
研究実績の概要

声帯結節は慢性的な大声発声の使用後に生じる器質的音声障害の代表であるが、大声発声を行っている者全てが声帯結節を発症するわけではない。その理由として、大声の発声法に適切・不適切があり、不適切な場合にのみ音声障害が発症することが仮定されるが、現時点では大声発声の適切性を区別する臨床検査はない。我々はこれまで、ハミング発声においては、通常の母音発声と比較して、起声時声帯内転速度が小さく、発声前の一過性声門閉鎖が消失し、声門上部圧迫が緩和される、すなわち、喉頭抵抗が減少することを報告した。このことは、通常母音の大声発声と比較して、ハミングでの大声発声は呼気努力に依存することが仮定される、本研究では、通常母音およびハミング発声下で徐々に声を大きくしていくクレシェンドタスクを行った場合の喉頭・呼吸動態を把握し、健常者と声帯結節患者の間の相違点の有無を検討する。昨年度我々は、声道および胸腔・腹腔内圧を測定するためにマノメトリーを特注し、現在健常人を対象にして条件設定を行っているところである。強弱の咳払い・通常母音発声・ハミング発声・大声母音発声・母音クレシェンド・ハミングクレシェンドを行った場合の各部位の圧変化を検討したところ、①声門上部圧の変化は揺れのみ観察され、声門開放期の圧上昇に因るものと考えられた、②頸部食道内圧はわずかなセンサーの位置の変化により上部食道括約部の影響が大きくなる、また発声などのタスクに無関係な変化が多いため、粘膜の直接接触の影響が考えられた、③胸部食道内圧と胃内圧は、呼気努力により上昇し、呼気努力がない場合は安定して0の値を示すことから、内腔内で気圧のみを反映すると考えられた、④咳払い時には胸部食道内圧と胃内圧は同程度に増大した、⑤母音・ハミングクレシェンド時には胃内圧は上昇するが、胸部食道内圧の増大は緩やかであり、横隔膜の収縮の関与が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

声門上圧・頸部食道内圧(声門下圧を反映)・胸部食道内圧(胸腔内圧を反映)・胃内圧(腹腔内圧を反映を同時モニタリングするため、スターメディカル社に、4点の圧センサーを有するマノメトリーの作成を2017年6月に依頼し、2017年12月に納品された。このため、マノメトリーの条件設定に遅れを来した。
また当施設の倫理委員会より、当研究に対し、健常人の参加の際に、大学院生・医療スタッフを参加させるのではなく、謝礼を出して一般より参加者を募るように指示を受けたため、現在他の大学院生・医療スタッフを被験者に出来なくなり、最近は研究協力者自身が被験者となり、条件設定を行っている。

今後の研究の推進方策

今後は、マノメトリーによる4点の圧モニタリングに加え、音圧計による音圧変化、スパイロメトリーによる気流変化を同時モニタリングするための条件設定を行う必要がある。特に、これらの3つの計測値の変化を同期させるための条件設定が必要となる。同期することにより圧変化と気流量変化から喉頭抵抗の変化が得られる。
当施設の倫理委員会からの謝礼を出して一般より健常人参加者を募るという指示を対しては、今後同意し、研究費より参加者1人につき1回5000円程度の謝礼を支払うことを計画に盛り込み、これを再び倫理委員会で検討する予定である。
倫理委員会の承認の後に、募集した健常人参加者20例を対象としたデータの取得を開始している。仮説として、ハミングクレシェンドでは、母音クレシェンドに比較して、胃内圧が高く、気流量が多く、喉頭抵抗が低いことを仮定している。その後に、声帯結節を有する患者を対象としたデータの取得を開始する予定している。音声障害症例においては、ハミングクレシェンド時の胃内圧の増大が不十分であることを仮定している。

次年度使用額が生じた理由

マノメトリーの圧力トランスデューサー、附属品である転送ボックスの価格が予想以上に高額であったため、不足分を補うために前倒しを行ったが、特注トランスデューサーの作成過程において、転送ボックスの規格が見積もり時から変更されたため」、最終的にやや安価となり、剰余が生じた。施設の倫理委員会より健常者を謝礼を支払って集めるように指示されているため、剰余金は本年度の健常者の実験への参加の謝金に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 健常人におけるハミングクレシェンドタスク中の喉頭動態の変化の解析.2018

    • 著者名/発表者名
      小川 真
    • 学会等名
      第30回日本喉頭科学会学術講演会

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公開日: 2018-12-17  

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