研究課題/領域番号 |
17K11384
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
清田 尚臣 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (40515037)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 唾液腺癌 / 免疫チェックポイント分子 / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
当初、当院で1995年から2012年までに収集した保存組織検体を128 例中、主な組織型である腺様のう胞癌(24 例)・粘表皮癌(30 例)・腺癌(14 例)・唾液腺導管癌(15 例)について、腫瘍細胞と腫瘍周囲免疫細胞におけるPD-1 やPD-L1 を代表とする腫瘍免疫関連分子の発現状態を免疫組織学的に検討を予定していた。しかし、可能な範囲で患者背景を揃えて各組織型での腫瘍免疫関連分子の比較を行うには検体の不備や症例数の不足が判明した。 このため、データベース再構築から平成29年度は開始した。予後との相関も検討するため2013年から2016年までの治療例を追加して新たに作成したデータベース192例中、根治的手術後のStage III/IVA/IVBに絞って研究対象を再設定した。 この結果、腺様のう胞癌(7例 年齢中央値 71歳、Stage III/IVA/IVB 2/3/2)、粘表皮癌(High grade 7例 年齢中央値 77歳、Stage III/IVA/IVB 2/5/0)、粘表皮癌(Low grade 7例 年齢中央値 71歳、Stage III/IVA/IVB 4/3/0)、腺癌(7例 年齢中央値 63歳、Stage III/IVA/IVB 0/7/0)、唾液腺導管癌(7例 年齢中央値 72歳、Stage III/IVA/IVB 2/5/0)と各組織型で7例ずつで背景が揃いかつ十分な検体量を確保することができた。 今後は、再構築したデータベースと研究対象を基に腫瘍免疫関連分子の発現状況及びmutational loadなどを各組織型での比較検討すると共に、予後データとの照らし合わせを行うことで研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、当院で1995年から2012年までに収集した保存組織検体を128 例において検討を進める予定であった。しかし、可能な範囲で患者背景を揃えて各組織型での腫瘍免疫関連分子の比較を行うには検体の不備や検討予定の組織型での症例数の不足が判明した。 このため、データベース再構築から平成29年度は開始したため研究が遅れることとなった。この結果、2016年までの症例を加えたデータベース構築は終了し、上述のように腺様のう胞癌、粘表皮癌(High grade, Low grade)、腺癌、唾液腺導管癌と各組織型で7例ずつで背景が揃いかつ十分な検体量を確保することができた。 また、平成29年度は上記のデータベース再構築の後に、設定しなおした対象の保存腫瘍組織検体を用いて腫瘍免疫関連分子の発現を免疫組織学的に検討する予定であった。しかし、当初予定した免疫組織化学染色の委託先が対応困難になり、また免疫多重染色も予定していたため技術的にも難しく、委託先の再検討を余儀なくなされたため当初予定よりも研究が遅れることになった。
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今後の研究の推進方策 |
上記のようにデータベース再構築とそれに対応した研究対象の再設定は終了したため、平成30年度は具体的な研究の進捗が期待できる。ただし、免疫多重染色を行うにあたってので委託先については現在目途がたったが、技術的な問題もあるためそれでも研究の進捗に影響する可能性がある。このため、これ以上の遅れが予測される場合には、免疫多重染色には拘らず通常の免疫組織化学染色を用いた研究方法に切り替えるようにする。また、保存検体を用いたmutational loadの検討についても協力機関と密に連携をとり平成30年度中に着手できるように進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実績にも記載したように、平成29年度はデータベース再構築と組織標本確認に費やし、当初予定していた免疫組織化学染色を用いた検討を行えなかったため次年度使用額が生じた。 このため、次年度使用額は免疫組織化学染色及びtumor mutational loadの測定に用いる。
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