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2019 年度 実施状況報告書

舌癌に対する制御性T細胞除去療法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K11385
研究機関熊本大学

研究代表者

折田 頼尚  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90362970)

研究分担者 三木 健太郎  岡山大学, 大学病院, 助教 (20747448) [辞退]
佐藤 康晴  岡山大学, 保健学研究科, 教授 (00579831)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード舌癌 / Treg / DEREGマウス / 4NQO
研究実績の概要

近年多くの癌種において制御性T細胞regulatory T cell (Treg)の浸潤が予後不良因子として報告されています。Tregは胸腺・抗原に暴露した末梢で産生されeffector T cellの抗腫瘍作用を抑制します。我々は4NQOを用いた舌癌モデルマウスにて癌の発生・進行とTregの浸潤の関係を観察し、前癌病変~初期癌にTreg、IL-10等が増加し、癌進行とともにそれらは減少することをつきとめました[Miki K, Orita Y, et al. Cancer Immunol Immunother 65: 1401-10, 2016]。つまり、Tregは主として舌癌発生初期段階で癌発生・進行の役割を果たすのではないかと思われ、治療としてTregを抑制するならば癌発生初期が最も有効であると予想しました。今回、次のステップとして、ジフテリアトキシン誘導性にTregを体内から排除することが可能なDEREG(Depletion of regulatory T cell)マウス(Foxp3陽性制御性T細胞特異的ジフテリアトキシンレセプタートランスジェニックマウス)に同様の手法で舌癌を発症させ、種々のタイミングでTregを排除し、どの段階でTregを排除するのが最も有効であるのかを観察しました。まず、ジフテリアトキシンでTregを排除しないDEREGマウスでは野生型と同様に発癌が観察されますが、ちょうど前癌病変から扁平上皮癌に進行する時期にTregを排除すると舌癌は発症せず、マウスの毛並みも良く元気であることを発見しました。その他の舌癌が発症しある程度進行してしまってからTregを排除しても個体差はあるもののやはり舌癌の進行が抑えられることもわかりました。ただ、DEREGマウスは繁殖力に難があり、当初予定していた個体数が確保できず統計処理には至っていません。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本実験系は4NQOを投与開始して発癌に至るまで15週以上を要し、多大な労力と時間がかかります。そのため、最初に必要個体数が揃わないと、色々な条件によって分けた群が同時に進行できず、6週齢になったものから順に実験に入ることになります。そのため余計にデータ収集が困難であり、やや難航しています。今までの実験で、Tregを15週目、つまり高度異形成から扁平上皮癌へと進行する時期に排除するとこのモデルにおいてはそれ以上進行せず舌癌が発症しないことがわかりましたが、DEREGマウスはそもそも繁殖能力が弱く、まだ実験を完遂できた個体が各群3匹ずつくらいしかおらず、解析を行ったり、確固たる結論を導くに至っておりません。実際の治療は前癌病変ではなく癌が発症してから行われるわけですが、今のところの検討では癌が発生し進行してからでもTreg排除治療はある程度有効であることがわかっています。しかしその効果がどの程度なのか、Tregを排除する本当の至適時期がいつなのか、等についてはまだ確定的な結果が出ていません。

今後の研究の推進方策

野生型マウスに4NQOを用いて舌癌を発症させる手技は確立しており、我々は100%の野生型マウスに舌癌を発症させることに成功しています。同じ手技を用いることによって、DEREGマウスに舌癌を発症させ、舌癌各発生段階におけるTregの浸潤、各種サイトカイン・ケモカインの発現を免疫(蛍光)染色及びquantitative reverse transcription-polymerase chain reaction (qRT-PCR)にて観察し野生型マウスと比較します。次に種々の段階でジフテリアトキシンを投与することによってTregを排除し、腫瘍のvolume、癌発生速度・範囲、組織像・分化度への影響を観察します。どの時期でどの程度Tregを排除すれば最も舌癌予防・治療に効果的であるかを検討します。また、Tregの除去効果が1回のジフテリアトキシン投与でどの程度継続するかも観察する予定です。これらの実験をスムースに行うために、今後は動物の繁殖専門施設と提携し、必要な個体数を確保していこうと思っています。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の拡大防止で、2/27-29日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会が中止となった。想定していた
マウス個体数が遺伝子改変マウスのためか繁殖力に問題がある上に、母体が出産直後に子を食するなど飼育にも難渋し
、予定個体数を十分確保できず、研究
に遅れが生じたため次年度に研究を実施することになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Young adult patients with squamous cell carcinoma of the tongue strongly express p16 without human papilloma infection.2019

    • 著者名/発表者名
      Tachibana T
    • 雑誌名

      Acta Otolaryngol

      巻: 139 ページ: 1-5

    • DOI

      10.1080/00016489.2018.1541506

    • 査読あり
  • [雑誌論文] KRAS mutation in tongue squamous cell carcinoma.2019

    • 著者名/発表者名
      Akagi Y
    • 雑誌名

      Acta Otolaryngol

      巻: 139 ページ: 647-651

    • DOI

      10.1080/00016489.2019.1610574

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phonatory function in patients with well-differentiated thyroid carcinoma following meticulous resection of tumors adhering to the recurrent laryngeal nerve.2019

    • 著者名/発表者名
      Miyamaru S
    • 雑誌名

      J Clin Oncol

      巻: 24 ページ: 1536-1542

    • DOI

      10.1080/00016489.2019.1610574

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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