研究実績の概要 |
下咽頭癌と非癌患者とのアレル頻度を比較することにより癌の発症との相関を検討した。 非癌患者での変異アレル出現頻度は,ERCC1,21.6%, XPD312,2.4%, XPD751,3.2%, XRCC1,28.2% であった。下咽頭癌患者での変異アレル出現頻度は,ERCC1,18.7%, XPD312,4.1%, XPD751,6.1%, XRCC1,27.2%であった。1000ゲノムプロジェクトにおいて日本人(東京)で報告されているこれらの変異アレル頻度はそれぞれ,ERCC1,22%, XPD312,7%, XPD751,7%, XRCC1,28%,であり,今回の結果とは大きな相違はなかった。また,これらの多型の日本以外の地域での変異アレル頻度はXPD312およびXPD751は欧米人と比較して頻度が低かった。 癌患者と非癌患者での多型頻度の比較を行った。各遺伝子多型について癌患者と非癌患者の間には多型頻度の有意な差は認められなかった。 さらに癌患者において,TNM進行度と多型頻度の関係を調べた。XRCC1に遺伝子多型を有する群では遠隔転移が有意に少なかった。その他の因子については多型頻度の有無における有意な差は認められなかった。 下咽頭癌における導入化学療法の効果とDNA修復酵素遺伝子多型との相関を検討した。ERCC1遺伝子多型および XRCC1遺伝子多型と導入化学療法の効果に有意な相関は認めなかった。
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