研究課題/領域番号 |
17K11395
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
矢吹 健一郎 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (50722774)
|
研究分担者 |
佐野 大佑 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10620990)
上野 康晴 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助教 (60375235)
谷口 英樹 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70292555)
折舘 伸彦 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90312355)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 頭頸部癌 / 癌オルガノイド |
研究実績の概要 |
申請者は所属する施設において一次治療を行った喉頭癌,下咽頭癌症例について検討し,治療前に施行したPET (Positron Emission Tomography) 検査におけるFDG (Fluoro-deoxyglucose) の集積を計測したMTV (Metabolic Tumor Volume)値が高値であった症例は,放射線治療に抵抗性で治療予後が不良であると報告した.本研究では,治療前の時点で予後不良が予想されるこのような症例における癌細胞から,癌組織の三次元的構造や間質による微小環境を再現する癌オルガノイドを作成し,その分子生物学的特徴を検索することを目的としている.
平成29年度に既存の頭頸部癌細胞株を用いた癌オルガノイド創生技術の確立・標準化を行ったことに引き続き,平成30年度は申請者らが所属する診療科における頭頸部癌手術で得られた患者検体を用いて,プライマリヒト頭頸部癌細胞の分離・培養を行った.
まず採取した頭頸部癌患者検体を物理的刺激および酵素処理により懸濁した後,基底膜を模したハイドロゲルに包埋することで三次元的な環境下で培養を行い,プライマリヒト頭頸部癌細胞株を作成した.次に平成29年度の結果より得られた条件に基づき,プライマリヒト頭頸部癌細胞株,臍帯静脈血管内皮細胞,間葉系胚細胞とを同一の培養皿内で共培養し,プライマリヒト頭頸部癌オルガノイドを作成した.同時に検体の採取元である頭頸部癌患者につきMTV値を計測した.MTV値の情報はそれぞれ作成したプライマリヒト頭頸部癌オルガノイドに紐づけ,今後の解析に使用予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度の研究計画通り,申請者らが所属する診療科における頭頸部癌手術で得られた患者検体を用いたプライマリヒト頭頸部癌細胞オルガノイドの作成に着手したが,作成の成功率が当初の予想より低く,平成31年度の研究計画に必要なサンプル数に未達であるため.
具体的には患者検体からプライマリヒト頭頸部癌細胞を分離・培養する過程で,プライマリヒト頭頸部癌細胞の樹立の成功率,つまり培養皿内で長期的に安定した維持・培養が可能な状態に達する割合が,当初の予定より低い結果となった.
|
今後の研究の推進方策 |
頭頸部癌の患者検体を用いたプライマリヒト頭頸部癌細胞オルガノイドの作成を継続し,予定されている放射線抵抗性の解析など,続く分子生物学的特徴の探索に必要なサンプル数の確保に努める.またボトルネックとなっている患者検体からプライマリヒト頭頸部癌細胞を分離・培養する過程につき,至適条件を探索し成功率の向上に努める.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)学会発表を行う際の旅費を計上していたが,平成30年度に関しては研究計画の後れに伴い発表を行わなかったため.
(使用計画)平成31年度の物品費に充てる予定である.
|