研究課題/領域番号 |
17K11400
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
平岡 政信 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80423945)
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研究分担者 |
杉田 玄 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20407274)
河野 正充 和歌山県立医科大学, 医学部, その他 (20511570)
保富 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90336892)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | microbiota / 扁桃陰窩細菌叢 / red complex |
研究実績の概要 |
平成29年度は、”急性扁桃炎患者の扁桃陰窩細菌叢の把握(扁桃陰窩細菌叢の把握と乳酸菌定着)”を検討した。 和歌山県立医科大学および関連施設の耳鼻咽喉科外来を受診した、成人、細菌性急性咽頭扁桃炎患者20例(中等症以上)を目標に、診療フローチャートに準じて治療を行った(のどの病気Q&A; 山中昇, 2014)。1.炎症極期(初診時) 2.抗菌薬治療最終日(平坦化された細菌叢) 3.2週間後(再診時) 4.4週間後(治療終了日)に扁桃陰窩swabを採取、培養検査に提出するとともにDNAを抽出し、 16SrDNAを用いた群集解析をおこなった。20例を2群に分け、一方は抗菌薬終了とともに乳酸菌製剤(ミヤBM)の投与を終了し、もう一方には2週間後まで投与を継続した。抗菌薬投与による細菌叢の平坦化後の乳酸菌投与が定着に寄与するかどうかを検討し、宿主側の条件として、carbonhydrate utilization geneの発現の有無をPCRにて確認した。 次に、”反復性(重症)扁桃炎患者の扁桃陰窩細菌叢の把握(反復性扁桃炎におけるGAS細胞内寄生)”について検討を加えた。 成人反復性(重症)扁桃炎10例と扁桃肥大10例を目標に、それぞれ、摘出扁桃陰窩swabおよびhomogenate検体より培養検査を行うとともにDNAを抽出し、 16SrDNAを用いた群集解析でRed Complexと乳酸菌の菌叢構成を比較した。また、細胞内寄生したGASの存在を評価し、乳酸菌の定着に関するCarbonhydrate utilization geneの発現をPCRで確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検体採取、症例のエントリーは着実に進めているが、予定症例数には到達していない。 初年度として、データ解析の環境整備のため購入したPCでは、次世代シークエンサーのデータ解析ソフトを実装をおこなった。 外来患者、および手術症例については、専門外来を利用することでH30年度早期に実現する。
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今後の研究の推進方策 |
平成30, 31年度は、症例登録を進めるとともに、”反復性扁桃炎患者の扁桃マイクロビオーム解析による反復化機序の検討”として、pathogenおよびsupporterの半定量とcompetitorの定着を検討する。 pathogenと考えられる優勢菌の半定量と抗菌薬投与による減少を評価する。またsupporterとしての嫌気性菌Red Complexと、competitorとしての乳酸菌のbacterial densityを評価し、それぞれ病勢に並行して変動することを示す。また、経口乳酸菌製剤の内服と、Carbonhydrate utilization geneの発現が長期的な定着に影響するかを評価する。 次に、GAS細胞内寄生と扁桃炎反復化機構に検討を加える。成人反復性(重症)扁桃炎と扁桃肥大例に対し検討を加える。群集解析にて、両群の細菌叢を主成分分析、主座標分析で比較、有意差検定を行いpathogen, supporter, competitorの構成比を比較する。また、扁桃陰窩swabとhomogenate検体で菌叢が異なるのか、GASの細胞内寄生は反復性(重症)扁桃炎群に多く見られるのかを評価する。 competitorの長期定着の指標となるCarbonhydrate utilization geneの発現程度を比較するとともに、ポリアミンを定量比較し、反復性(重症)扁桃炎群で細胞内寄生に対する宿主オートファジー機構が抑制される可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例登録進捗の遅れにより、次年度での繰り越しとした。
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