研究実績の概要 |
頭頸部領域のHPV関連癌が注目され、HPV関連癌は化学療法や放射線治療の感受性が良好であることが報告されてきた。一方で化学療法および化学放射線治療に対する耐性機構の一つとして、腫瘍細胞におけるDNA損傷後のDNA修復亢進が強く関与していることが報告されている。1本鎖DNA損傷修復機構の一つであるDNAの損傷乗り越え修復や細胞周期、転写因子制御などに関与するREV7の発現が治療効果などに実際関与しているか、p16免疫染色結果との相関を当院で治療した中咽頭癌検体を用いて検討した。p16陽性が全症例の65%、陰性が35%であった。REV7染色ではスコア0,1の低発現が62%、高発現が38%であった。p16陽性群は陰性軍に比べて無増悪生存期間(PFS)が有意に良好であった(p=0.049)。REV7の発現と年齢、分化度、UICC病期など背景因子との相関を診たところいずれも相関は認めなかった。REV7発現とPFSとの間には有意差はなかった(p=0.34)。p16染色陽性者の73%がREV7低発現、27%REV7高発現となり、一方p16染色陰性者の61%がREV7高発現、39%がREV7低発現となり、これら2因子間には逆相関が認められた(p=0.019)。そこでp16陽性者のみでREV7高発現、低発現間にPFSに差がみられるか検討したが、有意差はなかった(p=0.69)。またp16陰性者でのREV7高発現、低発現間にPFSも同様に検討したが、やはり有意差はなかった(p=0.72)。今後、p16とREV7逆相関のメカニズムの解明が必要であると考えられた。
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