研究課題/領域番号 |
17K11410
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小澤 宏之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30327621)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 低酸素応答因子 / 転移 |
研究実績の概要 |
HIF1-αを直接制御する薬は効果や副作用の問題で臨床応用に至っていない。そこでHIF1-α活性を制御する因子が注目されているため、本研究ではまず頭頸部癌細胞株を用いてHIF1-α活性を制御する因子の阻害効果について解析を開始している。 HSP90はHIF1-αの安定化に関わり、HSP90阻害により細胞内のHIF1-αは分解される。HSP90阻害薬(tanespimycin; Abcam)を用い、頭頸部癌細胞株FaDu、Detroit 562におけるHIF1-α活性の制御脳について評価を行っている。またtanespimycinを用いた腫瘍増殖(MTS assayなど)、遊走能、浸潤能への影響を評価を行っている。 また平行してP300/CBP阻害作用を持つBortezomib (Santa Cruz Biotech) 、またHIF1-αとHIF1-βの結合を阻害するAcriflavin(Lee: PNAS 2009)や核内でのHREとの結合を阻害するChetomin を用いて、上記と同様に腫瘍細胞への影響を解析している。これらの薬剤のうち、頭頸部癌治療に適した薬剤の選択を行い、in vivoでの評価を今後行っていく予定である。 さらにHIF1-αの転写因子の1つであるANGPTL4の腫瘍内発現について検討を行っている。HIF1-α阻害によりANGPTL4発現は低下する。臨床献体を用いて免疫染色で評価中であり、頭頸部癌細胞にANGPTL4発現を認めている。ANGPTL4は腫瘍の代謝に関わる分子であり、頭頸部癌の転移や予後との関わりが推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬剤の反応が当初予想した通りではないため、薬剤投与期間や濃度等の条件検討に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroでのHIF1-α制御因子阻害剤の効果を十分に検討した後にin vivoでの検討に入る予定である。大学院生と協力し研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね受領額と同程度の支出となったが、多少残額が出た。試薬の支出が想定より少なかったことが原因と考えられる。次年度に合算して使用をする予定である。
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