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2019 年度 実績報告書

低酸素応答因子を標的とした頭頸部癌転移治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K11410
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

小澤 宏之  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30327621)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード頭頸部癌 / 低酸素応答因子 / 転移 / ANGPTL4
研究実績の概要

低酸素応答因子のなかで最も重要なHIF1-αを直接制御する薬は、実臨床における効果や副作用の問題で臨床応用に至っていない。そこで、HIF1-α転写因子の1つであるANGPTL4について検討した。ANGPTL4はAngiopoietinの構造類似タンパクで脂質代謝や血管新生因子としての働きを担っている。悪性腫瘍における役割については依然解明されていない。
当科で治療した未治療下咽頭癌を対象としANGPTL4の免疫組織染色を行い、ANGPTL4発現と臨床病理学的指標との関連について後方視的に検討した。生存分析では、ANGPT4陽性(p<0.05)で全生存率(OS)を有意に延長した。病期がTis/T1症例、リンパ管侵襲陰性例、深達度が上皮(ep)/上皮下層(sep)症例で、ANGPTL4発現が陽性となる傾向がみられた。多変量解析では、OSについてANGPTL4発現が独立した予後規定因子であることが示された(HR 0.088、95%CI:0.010-0.749、p<0.05)。また、2005~2013年に中咽頭癌についても同様に検討し、ANGPTL4発現が予後に関わっていることが示された。
続いて、頭頸部癌細胞株FaDu, Detroit 562を用い、siRNAによるtransient knockdownを行った。Controlと比較し、ANGPTL4発現を低下させることによりEMT関連遺伝子やがん幹細胞形質に関連する遺伝子の発現が減少することを確認した。
過去の報告では、ANGPTL4は腫瘍細胞が転移を起こす際の血管内皮細胞の透過性に関わっているとされている。一方で相反する報告もあり、腫瘍の増殖に抵抗する機序については解明されていない。今回の結果から、頭頸部癌ではANGPTL4は腫瘍の転移を抑制する方向で働いていることが示された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 下咽頭癌におけるANGPTL4発現の検討2019

    • 著者名/発表者名
      中原奈々 小澤宏之 関水真理子 齋藤真 吉浜圭祐 中村伸太郎 小川郁
    • 学会等名
      第43回頭頸部癌学会

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公開日: 2021-01-27  

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