研究課題/領域番号 |
17K11413
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
仲野 兼司 公益財団法人がん研究会, 有明病院 総合腫瘍科, 副医長 (10795553)
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研究分担者 |
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (80273358)
松下 博和 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, 分野長 (80597782)
高橋 俊二 公益財団法人がん研究会, 有明病院 総合腫瘍科, 部長 (90221358)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 腫瘍免疫 / 免疫応答 / ネオアンチゲン / イムノグラム / 複合的免疫治療 |
研究実績の概要 |
悪性腫瘍患者では抗腫瘍免疫応答は様々な機序で抑制されている。その抑制因子の一つである免疫チェックポイント分子の阻害薬による治療は、頭頸部癌を含む複数のがん種で生存期間の延長を示し、さらに他の抑制因子を標的とした薬剤を併用した複合的免疫治療の開発も始まっている。しかし、これらの治療効果を予測するバイオマーカーは確立されていない。本研究では、手術で切除された頭頸部癌の組織より腫瘍特異的遺伝子変異由来のネオアンチゲンを同定し、また腫瘍の免疫関連遺伝子の発現を検討して、患者個々の腫瘍内免疫応答の特性を評価した「イムノグラム」を作成する。本研究によって、頭頸部癌患者個々の「イムノグラム」に基づいた最適な複合的免疫治療が可能になると期待される。今年度は、昨年度から引き続きの新規検体を収集し、末梢血検体から末梢血単核球(PBMC)と血清を分離して凍結保存した。十分な量の腫瘍組織が採取できた症例については、腫瘍組織を細断し、一部は酵素処理などを行ってFresh tumor digest(FTD)を作成した。残りは培地上に播種し、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)および腫瘍細胞を培養した。そして、得られたTILとFTDを共培養し、上清を回収してELISAでインターフェロンγ(IFNγ)産生を解析した。さらに、一部について、腫瘍組織の肉眼的な癌部と非癌部、PBMCからそれぞれ DNA、RNAを抽出し、 全エクソン、全RNAシーケンス解析を外注検査に提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度から順調に検体の収集が進んでおり、今年度までに第一段階の解析として、頭頸部癌においても、腫瘍細胞内に腫瘍反応性のTILが存在している症例があることが確認され、一部の検体を次世代シークエンサーによる全エクソン、全RNAシーケンス解析の外注に出した。今年度はこれらを継続しながら、次世代シーケンサー解析結果から「イムノグラム」の作成に加え、腫瘍免疫に関連する複数の解析を行い、さらにフローサイトメトリー解析、 液性因子解析を行って、頭頸部癌における腫瘍内免疫応答を多層的に解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
全エクソン、全RNAシーケンスの解析結果から「イムノグラム」の作成に加え、腫瘍免疫に関連する複数の解析を行い、さらにフローサイトメトリー解析、 液性因子解析を行って、頭頸部癌における腫瘍内免疫応答を多層的に解析する。 また、MHCクラスI/II結合予測法を用いて、腫瘍特異的遺伝子変異由来のネオアンチゲンを同定する。さらに、全RNAシーケンス を行って得られた遺伝子発現プロファイリングなどから、腫瘍内微小環境の解析を行う。これらから、頭頸部癌における腫瘍内免疫応答を多層的に解析し、さらにこれらの結果をもとに複合的免疫治療の可能性を検討する。
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