研究課題/領域番号 |
17K11418
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
朝岡 亮 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (00362202)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 緑内障 |
研究実績の概要 |
視野感度測定シミュレーターデータを用い、Variational Bayes法を用いて視野感度を予測し、且つ各測定点の測定順を最適化する視野アルゴリズムで計測することで視野測定がどのくらい高速化されるかと測定精度(平均二乗誤差:RMSE)を、①理想応答(測定ノイズ無し)の場合と②標準偏差2.1dBの測定誤差を想定した場合の二通り検証した。この結果、各方法の場合でのRMSEと測定時間は①と199 ± 71秒、②2.6 ± 0.7 dB and 261 ± 65秒で、各々Variational Bayes法を用いない場合よりも有意に低値であった。(2018年国際視野学会発表予定、論文投稿準備中)
固視ずれの指標であるゲイズトラック記録から推定される固視ずれの視野信頼度への影響を検証した。304例408眼の開放隅角緑内障患者の10回の視野計測のMean deviation(MD)値をトレンド回帰をし、進行速度が-0.5dB/年以下でp < 0.05の場合に視野進行ありと定義し、各眼の視野シリーズを進行あり、なしに二分した。次に先行する少ない回数の視野(5回から9回)のMD進行スロープ値で10回の視野進行の有無を予測するarea under the Receiver Operating Characteristic curve (AUC) を計算した。次に先行する各視野シリーズに固視不良、偽陽性、偽陰性、各種ゲイズパラメータのカットオフ値を当てはめ、カットオフ値を厳しくすることでAUCが改善するかを検証した。何も視野信頼性指標を用いない場合、先行する少ない回数の視野回数が小さくなるにつれ、AUC値は小さくなった。固視不良、偽陽性に厳しいカットオフ値を当てはめてもAUCは改善しなかった。偽陰性、各種ゲイズパラメータに厳しいカットオフ値を当てはめることでAUCが改善した。(論文投稿中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーターを用いた検証でVariational Bayes法を用いた視野計測の有効性が、正確性と高速化の観点で、強く予見された。またVariational Bayes法を用いて視野計測をする際に、予め視野感度を予測すること、測定点順を最適化すること、視野感度計測打ち切りを行うこと、視野計測中に情報updateを行うことが有用であることが示唆された。またゲイズトラック記録の有用性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
Variational Bayes法を用いて視野計測をする際に、予め視野感度を予測し、測定点順を最適化し、視野感度計測打ち切りを行いつつ、視野計測中に情報updateを行う方法で、緑内障患者での視野計測検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
Variational Bayes法を用いた視野実測検証を平成30年度に開始するため、その計測にまつわる人件費、結果の解析に用いるデータ環境整備、並びに成果発表として使用を行う。
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