研究課題
深層学習(ディープラーニング)は、最近注目を集めている機械学習法の一つ、これまでの他の機械学習法に比べ、診断・予測精度が良いことが知られている。しかしその最大の欠点は、良い精度を得るのに通常大量のデータを必要とする点である。Transfer Learning(転移学習)はその欠点を補う手法で、訓練データの数が少ない場合に、これと別に異質の大量の予備訓練データを用意して、深層学習アルゴリズムを予備学習してから訓練データを用いて本訓練をする手法である。本研究では1565眼の開放隅角緑内障(OAG)眼と193眼の正常眼による4316枚の光干渉断層計(OCT)画像(RS3000, Nidek) を用いて予め深層学習アルゴリズムを予備訓練しておいてから、94眼の早期OAG眼(Mean Deviation > -5.0dB)と84眼の正常眼のOCT画像(OCT-1000/2000, Topcon)で本訓練し、その診断精度を114眼の早期OAG眼と82眼の正常眼を用いて検証した。この結果得られた受信者操作特性曲線下面積は 94 %で、予備訓練を行わない場合(77~79 %)や他種の機械学習法(67~82%)よりも有意に大きかった。本研究の結果、OCTを用いて緑内障を診断するのに 深層学習が有用で、特に訓練データが少ない場合には、転移学習を行う事が有用であることが分かった(Asaoka R et al. American J Ophthalmol 2019)。今後更に視野、光干渉断層計のデータ収集を進め、視野予測モデルの構築を行う。
2: おおむね順調に進展している
深層学習を用いて光干渉断層計を解析し、早期視野例の緑内障診断を行うモデルを構築・検証し、国際的に初めて報告した。視野、光干渉断層計の更なるデータ収集は順調に進行している。
視野、光干渉断層計の更なるデータ収集を更に推進し、視野予測モデルを構築する。
データ収集に伴う人件費などの費用、成果発表・報告費、モデル構築に伴う経費に使用予定。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Am J Ophthalmol
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